余すところなく
余すところなく

未完成品を差し出してみせるのは
ひとかけらもわたしを取りこぼしたくないから
わたし自身を
すべてをつまびらかに説明する必要はないかもしれないが
自信がないのであればよけいに
正々堂々としていよう

頭のなかを羽撃く鳥たちが
とまり木をさがしては
雨に打たれる夜に
高い声で鳴く

余すところなく
余すところなく

完璧なものはないかもしれない
たとえばわたし自身が愚かだと思うとき
人の醜さに辟易してしまうように
たとえばわたし自身が不完全なとき
世界もどんどん崩れていく

でたらめに組み立てられたなかで
あなただけが完璧に組み立てられた構造だったと
わたしはいえない
いえない

憧れを押し付けていたい
そうでなければ時々
信じるものを失って
うずくまってしまいそうになるから

だけど知ってもいるのだ
たとえ信じるものがなにひとつなくても
わたしはかならず
力強く生きていけると

この波のなかが
わたしの素晴らしさすべて

恋や愛がうまくできないので
躊躇いつづける朝

夢や希望がうまく見えないので
恐れつづける心

家族や友達がうまくいかないので
拒みつづけてきた

ひとつの新たなことに出会えば
そのたびに戸惑い迷い
不安に駆られてさまよう

鳥たちが羽撃き
二度と戻ってこないことを願う

すべての矛盾をひとつ残らず拾い集め
生きていきたい

いま会いたい人に会える力がほしい
それならばすでにここにある

あなたを愛してよかった
ただ最後にはそう思うだろう



友たちへ
2019/01/02





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