なにもかもを愛してしまう
なぜ愛してしまうのか
なぜ愛しいのかもわからぬ
理由もなく
過去のすべてを愛してしまう
だからつまり
未来のすべてもわたしは
愛してしまうのだろう
それが生きていくことだった
生きていける理由だった
わたしは生きていた
常に 確かに 疑いようもなく
だれかを踏みにじった瞬間さえ
うそいつわりなく
愛してしまう

愛しいとからだが焼けるのだ
たとえここに薪がなくとも
ひとりでに燃えている火がある
そんなことがある

母よ
まだ見ぬ父よ
わたしの周りにいたすべての人たちが
悲しみと怒りと痛み尽くした日々を
だれも愛さぬというのなら
わたしがする
だれも見ていなくて
なにひとつ報われず
だれも救われなくとも

だってそのために生きてきたのだ

だれかに気づいてもらう意味も
だれかを救う意味もなく
ただ愛するために生きてきた

生きてきたよ かあさん



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2018/12/31





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