この日記を読み返すとき
少し傷が癒える
わたしはたしかにわたしのために
生きてきた
わたしはたしかにわたしのために
この日記を残してくれた

小さかった足跡も
あのころに比べれば
ずいぶん大きくなった
母はいまも苦しみながら働き
ほかの場所でもほかのだれかが
生き疲れながら生きつづけている

あの人が自分の人生を生きている
とうたった
しかしそれでもわたしはまだ一人の女だ
ともうたった
そういう矛盾をいだいている人をこそ
愛しく思う
だからわたしは
わたしを愛しているのだ

様々な人を何度も何度も思い返す
夢のなかに出てくるあらゆるわたしを知っている人たち

受け入れることを
なぜ拒もうか
打ちのめされながらも耐えることを
なぜ恥じようか
なぜ愚かかもしれないと不安に思おう

わたしにはわたしの生き方があった
それが惨めなものでも
大切なものだった

この日の日記を読み返し
またいつかきみは少し
癒されるだろう
絶望に閉じ込められた日も
憎しみに燃えた日も
人を傷つけうめいた日も
孤独にさいなまれ死のうとした日も
ただ思い返すだけでわたしは
わたしは癒される
それでも生きたのだから

簡単なことがたくさんある
あの人もこううたった
わたしもそう思う

雪の降る夜泣きながら街灯から隠れ歩き
それでもわたしはこうして生きつづけると決めたのだと
どれだけ打ちのめされても生きていたいのだと
本当に思ったのだ
覚悟ならできた
覚悟ができたあの日からわたしは
千回挫けたが
そのすべてを
愛してきた

わたしは弱く
その弱さこそがわたしの強さだと
臆せずいおう

あすのわたしも
わたしを見てきっと癒えよう

風が恋人のように寄り添う
なぜ世界がこんなにも美しくて
美しいと泣けてしまうのかわからないと
毎日思う



毎日思う
2018/12/10





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