ああ!
このまま誰かが私を殺してくれればよいのに

わかっている
私はなにも知らぬ子どもだと

いやわかっている
力ならいくらでも蓄えられると

ああ
このまま潰れて死んでしまえばよいのに

おお
たった少しの痛みにおののき
傷ついてしまった胸を庇いながら
どこへ?

私なら大丈夫
なぜなら負け犬でも生きてゆけるから

強がりではなくとも
強がりのようにしか見えない

では愛する人をさがそうと
盲目の旅に出るか

ああいやだ
私は違う
わかっていることが
わからない

小さな空白が
染みとともに広がっていく

懐かしい友よ
矢を撃て
突き刺して
突き刺して
粉々にして

もう一人では生きてゆけないと
いつになったら言える?

おお
愛する人がいなくても
みんな死んでしまった場所でも
一人で生きてゆけてしまうから
なにも言えない
理詰めの頭が
肝心な言葉を失くす

どんなに無力でも
ない頭を振り絞って
非力な脚で歩きたいと思うのは
無様でも
悪くはないだろうと
手さぐりでゆく
怯えかけの子ども

ないものをさがすのはやめたけど
じゃあなぜ立ちゆかない

私は空元気みたいだって
だってだって
だったら?

見えない膜が
私のなかにある
破ろうとするほどかたくはなく
やわらかななにか

いきたい場所へゆける



涙だけが
本当に不自由だ



ひとしずく
2018/12/09





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