ふたりはこどもでした
いいえ もっと大勢が
ずっと無力で非力だと思っていました
思いは目に見えず
考えはかたちにならなければ
なにも変えられないと思っていました
唯一無二のちからや
特別な存在を夢見て
それを信奉しながら
敬遠し
それだからわれわれは無力なのだと
諦めていました
こどもたちは
いつも力強く生きていたことを
知らなかったのです
ただ歩くだけで土がならされていくことを
息をするだけで花がひらくことを
知らなかったのです
走れば風がうまれ
風が空をかきまぜ
大きなうねりをうむ
荒い呼吸が草木を目覚めさせ
芽吹いた緑が新たな息をする
わたしたちは
力強いいきものでした
生きているそれだけで
なにかを生かし
創り出す
そして常に生かされている
力強くしなやかで
うつくしいいきものでした
ふたりは
こどものようでした
けれどもいずれ
こどものように無垢な
かがやくおとなになるでしょう
非力さに怖気づき
無力さに立ち尽くした日々が
どれほどの糧だったか
知るでしょう
彼らは
生きているのです



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2018/11/19





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