思いつめていた
あのせつなくつらいものが
こんなにもかんたんにほどけてしまっては
もうこの世に難しいことも
不可能なこともないのではないかと思ってしまう
こんなにもあっさりと問題が解けてしまっては
困る
世界がとても易しく
そして優しく成り立っているとしたら
わたしはずっと
ああ無意味に愚かにがんばっていたのだろう
これからもどれだけ苦しくても
世界がやさしいことを知ってしまったらわたしは
泣きながらでも
生きるしかないではないか

もうずっと解けないと思っていたこじれが
ほとんど解決されてしまっては
わたしはやはり
進み続けるしかない

ではなぜどうして
わたしは
いつもさがしているのか？

胸のなかにある人が
わたしに声をかけるのだ
あなたは振り返りながら待っている

あるときふと気づいた
わたしは愛せたつもりになっていたが
まだ愛せないかもしれない……
愛することの難しさよ
この問題もある日突然
あっさりととけてしまうのだろう
ああそのくるべきときを
わたしは待たずに
まっすぐに生きてゆこう

詩をかこう
小説を
あなたにあてた歌をかこう
愛することの安堵を
知り続けたい

失望していながら
また一つ人間らしいところを知ってしまうと
理想を追いかけていたわたしでさえ
その欠点を愛して
より好きになってしまうから
だから失望したつもりで
離れようとするのだとわかった

人は面白い
あなたも面白い
まるで難しいことばかりで
そして
生きることも愛されることもわずらわしいかのようにしているあなたも
その生を謳歌している
別の意味できっと
わたしも同じであろう



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2018/10/02

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