風がはやい
草の上を駆けゆけていく
大地を
雲を追いぬき
だれよりもはるかへゆく
だれも届かない場所へ

落ちていく鳥も目もくれず
駆けぬけてゆく
いちばん遠いところへ
みえなくなるまで
みえなくなるまで
かすれ
すりきれて
消えてしまうまで

ああ
からだなど
すりきれて
なくなってしまえ

いつでも飛び立つことを夢みて
いつでも飛び立てることをしらず
地に伏せて泣いたとき
土のにおいのなつかしさに
もっと泣いたでしょう

風は
はやく
無限にはやく
おだやかな日も
すこやかな日も
流れつづける
草の上をとおるとき
わたしに話した
鼻先にしたキスを
わたしはつかまえられなかったけど

最後までいこう
最後までいこう
あなたが待っていない
最後まで
あの最後まで
いこう

傷つくことももう
こわくない



風の最後
2018/09/27





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