君を愛するわたしでありたかった
愛するという言葉を借りていた
愛という言葉を持つことで
なにか深く生きているような心地でありたかった
それだけだった
だからすぐに
ほんとうはなに?
と わたしは語りかけられる
たくさんの詩をかいても
ほんとうのことはなに一つ
いまだになに一つ
ない

言葉は箱だ
借りものだ
それで満ちたりるものもあれば
たりぬものもある
言葉は偉大な箱だ
わたしは言葉にさえ翻弄され
迷いつづけている

この一瞬の夢が
あの有限のひとときが
あなたのかすかな眼ざし
そのひとすじが
ナイフだった
こころを穿つ
神様のナイフだった
こころが動き合う
ナイフ……

愛しているとか
愛するだとか
愛だとか
嘘さ
でも嘘なだけでもない
君を愛する夢をみるもの
何度でも
何度でも
恐怖や嫌悪すら
愛にまぎれる
だから
それで
よけい
わたしはいつも
混乱してしまう
見失う
なにもかもを

映画をみている
毎日
毎日
人の映画を
あなたが出てくる映画を
ずっとさがしている
さがしている……
ずっと
ずっと
もう何年も前から

この映画のタイトルは
いまは
ロストだろう
ロスト……

わたしは迷いつづけている
なにもかもを
あなたのことを



LOST
2018/09/22





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