この記憶がわたしのものでなくなっても
千年万年生き続けても
はるかむかしの
いのちがひとつの細胞だったころの
わたしと
そして
いのちがひとつの膨大な光に戻るころの
わたしよ
おまえは
素晴らしく
謳歌したろう

どうやってこの苦難を乗り越えようか
乗り越えたさきになにがある
苦しみの山越え谷越え
なにを目指していたのか忘れる

なにかを必死にやっていれば
届くと信じていた
なにもせずに死んでいくなら
あがきもがいてやろうと
信じてきた
それはたぶん
深い意味を持てなかった

ああ思い馳せる!
わたしはわたしを見つける
あの有限の大地の果てに
あの無限の星空のはるか向こうに
無数にいるわたしが
いくつもなみだをこぼす
笑い声のようななみだも
血のようななみだも
うつくしいなみだも
そのなみだを拾う手も
ぬぐう手もなく

わたしがわたしを見ている

愛に限りがあろうとなかろうと
尽くそう

わたしはわたしを見ていた
はるか無限のかなた
なつかしきかなしい郷愁の地より
遠くかすんでかがやかしき先の地より

この記憶がいみもなく砕け散っても
この苦難をどうやって乗り越えようか

記憶しよう
記憶しよう
しつづけよう
夢のなかでさえ愛したあなたを
抱きしめる日など永遠にこない
だからこそ
記憶しよう
この苦しみを



この苦しみを記憶しよう
2018/09/20





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