たぶんどこにもいない
たぶんどこにもいない
フェイドアウトして終わる映像や音楽のように
たぶんそうやって消滅していく
静かで
穏やかで
悲しい

いみもなく悲しいから
ずっと泣いていた
でもあなたを好きと言っていたかったから
泣くのをやめるのは
とても
とても
難しかった

おお喜びなど
愛する苦しみの悦に
かすむだろう
けれどもすべてが
かがやきとまぶしさに満ちたはずならば
悲しいとなど
思わないというのは
本当だろうか?

あなたが見えないままで
歩くわたしの裸の足を
見つめてください
どんなに汚れても
血にぬれても
なみだにおぼれても
うつくしい
その足を……

愛せなくなる
だろうか?
苦しみにやられて
憎しみにかわるだろうか
枯れるだろうか
愛は

見えない視界を
ぬぐう
ひとさじの
ちから



2018/09/19





×
「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -