『………』
「誰だてめえは」

 こちらが聞きたい。いや、見た目では誰だかわかっているのだ。だがしかし目の前で威圧的に私を睨む彼はどうしても私が知っている彼とは思えないのだ。いやこの上からな態度や目つきをもう少しマイルドにすればいつもの私がよく知る彼になるのだろうが。

「いつこの俺が入室を許可した?使用人、にしてはずいぶんと粗末な格好だな」
『あのー、申し訳ないのですが、ここ私の部屋です』
「あ?」
『私の部屋です』

 淡いラベンダー色のカーテンやらポピーレッドのカウチソファーやらその他置いてある小物もろもろを見てまず女の子の部屋だということがわからないものだろうか。わからないか、わからないよねそうだよねだってこの人着てる服装が今風じゃないどころかなんか中世ヨーロッパの資料かなにかで見たことある気がするし。

「…ここはどこだ」
『私の部屋です』
「それは先程聞いた。ここは一体どこに在る場所かと聞いている」
『日本です』
「……に…ほ…?」
『に ほ ん です』
「にほん…」

 その言い方だと物を数えるときのイントネーションに近いんだけどな。というか日本を知らないってどういうこと?この人は間違いなく、

『あの、アーサー、なんだよね?』
「!」
『違うの?ただのそっくりさんでこんなに似てる人がいるわけないしな…眉毛も健在だし…これがドッペルゲンガーってやつか…』
「なぜその名を知っている」
『アーサーが教えてくれたんでしょ。それとも記憶喪失にでもなっちゃったの?あ、でもそれなら辻褄が合う…』
「この名前は上層部の人間しか知りえないものだ。おまえのような下級民がなぜ知っている」

 もしかして。いやもうこれしかない。なるほどこれなら歴史の教科書にでも載っていそうな服装も目の前のこいつの威圧的な態度も私を使用人と勘違いしたことも、そして日本を知らないことにも納得がいく。

『ひとつ聞きたいんだけれど、今は何年でしょうか』
「太陽暦も知らねえのか。今はユリウス暦の」
『ああああおk把握。ようこそ日本へ、大英帝国様』




的な感じの大英様がまさかの現代にトリップしちゃうお話。大英様はまさに現役ですからね!!高校生ぐらいのお年頃と考えればいいのかな!!!普段人のことを見下すのなんて当たりまえな大英様でも現代の物の使い方がわからなくて頭の上にはてなマークいっぱい浮かべてるところを想像するととても楽しいです。超かわいいです。





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