図書室のとある一角にて。本田君を発見。見慣れた黒いサラサラの髪は後頭部の丸みに沿わず、まっすぐに地上に向かっている。うらやましい、髪に気を遣う女子よりも気を使っていない彼の方が綺麗なのだからどうしようもなく悔しい。後ろから歩み寄ってみるも反応がなく、ページをめくる音と文字を追う動きにその髪が揺れる。ヘッドホンもイヤホンもしていないのにこの反応ということは、相当熟読しているのだろうか。

『ほーんーだーくん』
「ぅわぁっ!?え?あ、name、さん…」
『ごめん、驚かせちちゃった?まあそれを狙ったんだけど』
「構いませんよ。ちょっと集中していたものですから気付かなくて…すみません」

 今日の本田君は眼鏡をしている。オーバル型のメタルフレーム、ネイビーカラーの眼鏡は彼によく似合う。個人的にはホワイトとか柄付のおしゃれ眼鏡とかもいいと思うんだけれど、彼は似合いませんからとまた謙遜するのだろう。眼鏡をしている顔をじーっと見つめると本田君は目線を彷徨わせつつ頬をかいた。少し赤らんでいる頬をつつきたい衝動に駆られつつ、閉じられた本に目を向ける。

『なにこれ?世界の…おまじない辞典』
「ちょっと目に留まりまして、なんとなく」
『どうしたの?会長になにか影響でもされちゃった?それとも変な薬か魔法でも』
「ち、ちがいますよ」
『あ、あれか今度描くお話の資料収集?今度は魔法少女的なやつなの?』
「あー、えー、そうですね、そんなところです」





実は本田さんは貴女と結ばれたくてこれを読んでるんです的な感じです。奥手な本田さんは陰でいろいろとしてそうだなと。恋のおまじないとか。いぎりすさんの家に伝わるもので確か手紙関係の恋のおまじないがあった気がしたのですが忘れてしまいました。
ああ、こんなことをしている私が純粋無垢な貴女にこんな想いを抱いていてもよいのでしょうか。いいえ、決して許されるわけがありません。こんな欲にまみれた私の想いを貴女に察されてはならないのです。ですが、私のこの思考の中でだけは、この生み出される欲望をどうか許してください。
こんな感じのことを考えていてほしい。ちょっと宗教じみているかもしれませんがこんな本田さんも私は好きです。
そして本田さんのお手製ご飯が食べたいです肉じゃがください塩鮭をください。




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