今日は疲れてしまった。本当に。高いヒールで一歩々々階段を上るたびに足先には痛みが走る。あまりにもひどいと感覚が麻痺することもあるらしいが、今は感覚がなくなってくれた方が増し、いや、有難い気がする。いや、やっぱり後が大変なことになりそうだから今のこの現状でいいのかもしれない。パンプスの中で締めつけられた足をはやく楽にしてあげたい思いで階段をのぼる。
 鍵をさしこむ。と、鍵が回らなかった。いや、正しくは鍵がすでに開いていた為にこれ以上回すことができなかったのだ。違和感はなく、鍵を抜いて
ドアノブに手をかけると、予想通り。扉を開けて視線を落とした先には綺麗に磨かれた革靴があった。鍵を閉めながらパンプスを脱ぎすて、リビングのドアを開けるとそこには思った通り彼がいた。

『来てたの』
「おお、おかえり」

 エバーグリーンのファブリックソファに腰を下ろして読んでいた本から顔を上げたアーサーは何気なく出迎えの挨拶をした。ただいま、と口にしながらソファの空いているスペースにどっかと腰を下ろす。彼の肩に背中で寄りかかりながらストッキングを引っ張ると重いという文句が背中に振動として伝わった。気にせず足からストッキングを引っ張り抜くと、感覚と共に張りつめた感情が楽になったような気がして、身体からさらに力が抜けた。

『もーーーだめ、疲れた』
「おまえなぁ…」

 肩に預けていた身体はずるりと傾き、アーサーの脚の上に寝転ぶ形になってしまった。しかし、構わずアーサーの脚に体重をかけて身体を思い切り伸ばすnameに呆れた様子で真上から顔を見降ろした。

「普通逆じゃないのか、こういう体勢」
『ごめんねー。疲れたの、今日はほんとに』

 真上から見下ろす影のかかった顔の中で光るエバーグリーンの瞳がとても綺麗で、手をのばして頬を撫でさすると彼は猫のように目を細めて。ごろごろと喉の鳴る音が聞こえてきそうだった。

『目、ほんと綺麗だよね』
「そうか?まあ俺自身気に入ってはいるかな。妖精に愛される色なんだぞ、これ」
『まーたそんなこと言って』

 力の抜けきった腕を首に回すと彼も自然と顔を近づけてくる。額を合わせて目を瞑ると、互いの呼吸と体温、匂いを感じることができた。








っていうヒールの高いパンプスを履いていたら帰宅するときものすごく足が疲れたので妄想していたらこんなものができました。まだまだこの先は妄想しましたが文章としてつなげることができません。難しい。




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