恋に上下の隔てなし | ナノ



Hyperion

2

バトルサブウェイなるものを知らなかったのは、ただ単にイッシュと言う真新しい地方で、初めて会うポケモン達のことを知るので手一杯だったからだ。ポケモンと共に戦うには、そのポケモンのことを知らなければならない。図鑑を託されたこともあり、イッシュに来てからはバトルよりも図鑑完成に専念していた。しかし、リオはバトルが好きだった。イッシュに来る前、バトルフロンティアの常連だったくらいだ。イッシュに来てからもそれは変わらない。図鑑集めに専念していたとて、やはりフロンティアのような場所で強い相手戦いたいと言う思いは常に頭にあった。いっそジョウトかシンオウに戻ろうか。シロナにバトルサブウェイを勧められたのは、そんなことまで思い始めている矢先のことだった。


バトルサブウェイと自分自身の力量を測るため、とあえて手持ちを入れ換えはしなかった。ダイケンキにシャンデラ、ドレディアを選び、登録する。相棒であるカイリューを入れなかったのは、最初はイッシュで出会い育てたポケモンを使いたかったからだ。

「ごめんねカイリュー」

不服そうにカタカタと音をたてるボールを係りの人に預け、リオは地下鉄に乗り込んだ。

思った通り、バトルタワーと同じ形式だった。7戦1セットで、段々と相手が強くなっていく。と言うことは、21戦目にはフロンティアブレーンのような人が来るのだろうか。

「シャンデラ、シャドーボール」

最後の一撃を命じつつ、次の21戦目のことが頭にちらつく。20戦目が終わり、備え付けの機械でポケモン達を回復させる。バトルタワーのように案内役の人がいないため、次が21戦目だというアナウンスしか流れなかった。ここにはフロンティアブレーンのような人はいないのだろうか。少し残念だと思いながら扉を開けると、先程の駅員とは違う、黒を主調とした制服を身に纏った男が立っていた。制帽で表情はよく見えないが、見えた口は大きくへの字を描いていた。今までのトレーナーとは明らかに異なる雰囲気に、ぶるりと小さく震える。

「本日はバトルサブウェイにご乗車、まことにありがとうございます」

無機質に響く声はびくりとするほど大きかった。ガタンゴトンと大きく揺れ、大きな音を立てる地下鉄内ではそうでないと聞き取れないのだが、男の声はそんな音が周りから消えてしまったかのように車内に響き渡った。
どんな相手なのか。リオは期待と高揚感に全神経を目の前の車掌風の男に集中させた。

「わたくし、サブウェイマスターのノボリと申します。
さて次の目的地ですが、あなたさまの実力で決めたいと考えております。ポケモンのことをよく理解なさっているか、どんな相手でも自分を貫けるか…勝利、あるいは敗北、どちらへ向かうのか…それでは出発進行ー!!!」
「えっええええ!!?」

何が何だかわからないいまま唖然とするリオをよそに、動かない表情とは正反対にテンション高く叫ぶと、ノボリは容赦なくモンスターボールを宙に放った。


back | next




(110128)


back main top 


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -