恋に上下の隔てなし | ナノ



Hyperion

オーバーヒート

「…ん?」

様子がおかしい、と思いっきりノボリを押しかえすと、先程までの抵抗が嘘のようにあっさりと解放された。慌ててノボリの顔を見ると、真っ赤。赤い上に、息遣いが荒い。

「え、ちょ、ノボリさん!?大丈夫ですか!?」
「だいじょうぶ、です」

ぐったりと体を椅子に預け、苦しそうに歪められた顔とうるんだ瞳が扇情的…いやいや、いつもと明らかに違った。
もしやとノボリの額に手を当てると、予想通り、熱がある。

「もしかして熱で変になってたんじゃ…」
「熱などありません…」
「思いっきりあります。ちょっと横になっててください」

違うと言い張るノボリを横に寝かせ、執務室を漁り氷嚢と毛布を調達した。苦しくない様に、とネクタイと帽子、コートだけはぎ取り、すっかり病人の格好になった。救急箱から見つけた体温計を口に突っ込み熱を測れば、倒れてもおかしくないほど高い体温を示していた。

「ノボリさんのばか」
「…申し訳ありません」
「自分の体調くらい管理できないでどうするんですか」
「……面目ないです」

はぁ、と溜め息をつき、先程までの甘い雰囲気はどこへいったのだろうと思った。あのまま流されていたら大変だったとは言え、何とも間抜けなオチである。

「リオ」
「は…んぅっ」

溜め息をつくリオの腕を引っ張ると、驚き固まるリオの顎を固定し、唇を啄ばむ。ちゅ、と触れるだけと思いきや、時折深く深くまで侵入してくる舌に、こちらまで熱に侵されそうだった。いつの間にか腰にまわされた手によって引くことも叶わない。
いよいよ苦しくなってノボリの胸をばしばしと叩くと、ようやく解放された。酸素が足りず頭がくらくらする。

「先程の言葉に偽りはありません」
「先程…?」
「貴女を抱きたい」

ぼん、と頭から煙が出たような気がした。
ダメだ、この人には適わない。観念したようにリオはノボリの背に手を回した。






頭が沸いてたんだ…(私の)
ノボリは熱が出たときや酔うと荒ぶればいい
(110404)



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