恋に上下の隔てなし | ナノ



Hyperion

じしんかじょう


「ねえねえリオ。なんでリオはダブルトレインに来てくれないの?」

クダリさんの言葉に、私は思わず持っていたジュースの缶を落としそうになった。慌てて両手で持ち直し、隣を歩くクダリさんを見上げる。…いいなぁ、背が高くて。

「私、そんなにダブルトレインに行ってないですか?」
「んーん、来てるけど、シングルの方が多い」

そうかなぁと思い返せば、まぁシングルの方が挑戦した回数は多いかもしれない。しかしダブルトレインも「来てない」と言われるほど行っていないわけでもない。シングルに3回乗ったらダブル1回。適量くらいだと自分では思っていた。
そう伝えると、クダリさんはおもしろくなさそうに口を尖らせ、「そうだけど」と呟いた。

「リオもダブルトレイン乗ろ」
「だから乗ってますってば」
「やだ、もっと」

不服そうな顔を隠そうともせず、クダリさんは私の袖を掴むと自分の方へぐいぐい引っ張る。

「服伸びます」
「じゃあダブルトレイン乗って」
「トウコちゃんやトウヤくんもいるじゃないですか」
「リオじゃなきゃやだ」

やだってあんたは子供か。呆れ半分、私じゃなきゃ、というフレーズに不覚にもときめいた自分がいた。悔しい。
うっかり流されそうになる思考を振り払おうと頭を振る。クダリさんはと言えば、未だに私の袖を引っ張っている。

「私、ダブルバトル苦手なんです」
「じゃあ慣れよう。苦手なものは克服しなきゃだめって、ノボリ言ってた」
「それは食べ物の好き嫌いに関してだと思います。
……と言うか、何で私なんです?そりゃ、多少バトルはできますけど、トウコちゃんたちだって最近すごいですよ」

私だけ特別強い、なんてことはない。上には上がいるのだ。私よりランクが上の人など沢山いる。そう思って言うと、クダリさんは「リオ、にぶい」と呆れ顔で言った。何が鈍いというのか。この会話の流れでどこに鈍い要素があったというのだ。訝しげにクダリさんを見上げていると、呆れ顔から一転、今度はにやりと笑って言った。

「ダブルトレインでぼくの格好良いとこ見せたら、リオもぼくに惚れてくれるでしょ?」







(110323)



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