恋に上下の隔てなし | ナノ



Hyperion

とける

※少しだけですが種族値等の話もしているのでそういったものが苦手な方はご注意ください







「やっぱりこっち来てびっくりしたのはポケモンですよね。見たことないポケモンなだけじゃなくて、技も種族値も今までの常識を覆されました」
「ふむ、やはり地方ごとによってポケモンだけではなく戦い方も異なるのですね。実に興味深い」
「イッシュ以外にデンチュラたちがいないなんて信じられないね」

サブウェイマスターの休憩室で机とコーヒーを囲んでの育成談議は、もうかれこれ10回は続いている。21戦目まで勝ちぬいてくるトレーナーがいないとサブウェイマスターはそこそこ時間があるらしく、私は気が向けばここへ訪れるようになっていた。何で関係者以外立ち入り禁止の休憩室に入れるかと言えば、他の誰でもないサブウェイマスターのクダリさんにここに連れて来られたからだ。
ふらりと訪れて、2人がいれば話をするし、いない時はトレインに乗ってバトルをする。ここ数カ月の私のライフスタイルと化していた。

「ほのおとむしが大幅に強化されたのははがねタイプに大打撃ですね」
「ウルガモスが良い例ですね」
「おかげでメタグロス出しづらくなりました」
「シャンデラの特攻は怖いもんねえ」
「145とかもうね、鬼か悪魔かと」
「そうは言いながらもご自分も持っているではありませんか」
「ヒトモシに一目惚れしました」

タワーオブヘブンで捕まえ、殿堂入りまで共にしたシャンデラ。あんなに可愛いのに強いだなんて素敵過ぎる。でも強いと知っている分、相手に出されたら厄介でもあるのだ。冷めてきたコーヒーをすすりながら、ボールからシャンデラを出す。それを見たクダリさんはデンチュラを出し、ノボリさんはオノノクスを出した。それぞれパートナーと戯れて、休憩室は一気に和やかなムードに包まれた。

「そういえば2人はイッシュ以外のポケモンは使わないんですか?」
「サブウェイの規定がございますから…」
「ホントはすっごーく育てたいんだけどね」

心底残念そうにする2人に罪悪感を感じながら、強いトレーナーと戦えるのは魅力でも、やはり自由度が高いトレーナーが一番気楽だなぁと思う。トレインやフロンティアにいる人々は廃人だとか呼ばれるけど、案外旅をしているトレーナーの方がバトル狂なのではないだろうか。目が合えばバトル、なんて良い例だ。

「でも、2人がイッシュ縛りなしの全国のポケモンを使ったバトル、一度してみたいです」
「それは是非やってみたいですね」
「わぁ!ぼく だれを育てようかな!」
「うーん、デンチュラ好きならアリアドスとかも好きそうですね」

今度の休日は2人とポケモンを捕まえに行こうか。そんな考えが浮かんで、一人でほくそ笑む。それに気がついた2人になんだなんだと追及され提案してみると、想像以上に嬉しそうな顔をしてくれて心がほんのり温かくなった。いいなぁ、この空間。バトルももちろんのこと、2人といるこの空間までも好きになってしまったからには、私は当分この地を離れられそうにはないなと感じるのだった。



とける

いつのまにかすっかり日常の中に溶けて混ざり合った幸せは、何よりもかけがえのない思い出として私の中で生きてゆくのだろう。







(110224)



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