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 色々パレット

昔から子供によく好かれる。
と言ってもまだ中2の私も十分子供なのだが、近所の子だとか小学校の後輩だとか、とにかく年下に懐かれやすい。幼馴染は居れど、兄弟はいない私にとっては弟や妹ができたみたいで単純に嬉しいこと。そしてそれは中学でも変わらないらしく、早速出来た後輩に、どうやら私は懐かれたようだった。

「あ、理緒ちんだ〜おはよー」
「おはよう紫原くん。はい、これあげる」
「わーい理緒ちんありがとー」
「今日も可愛いねぇ」

思わず頭を撫でたくなるが、身長差が激し過ぎて届かないので肩のあたりをぽんぽんと軽く叩く。するとお返しと言わんばかりに「理緒ちんもね〜」と大きな手で頭をわしゃわしゃとされた。見上げれば眠そうながら、嬉しそうにまいう棒を齧る紫。なんだこの子は妖精さんだったのか。

「おはようございます」
「おはよう緑間くん、今日のラッキーアイテムはす、炊飯器なんだね……?」
「はい、ちなみに白澤先輩は黒縁眼鏡でしたので、良かったらどうぞ」
「あ、ありがとう…?」

炊飯器を家から持ってきて家族の方は平気なんだろうかとか何で私の星座知ってるんだとかツッコミ所は山程あるが、これくらい気にしてはきっと彼との今後の付き合いを考えなくてはならないのだろうと、最低限のお礼だけに留めておいた。寧ろあえて「やったねこれでお昼も炊きたてご飯食べられるね」くらい言った方が良かったかもしれない。

「はよーッす!」
「青峰くんや、身長差を考えておくれ。とりあえずおはよう」
「理緒先輩ちっせぇなー」
「規格外な君ら運動部と比べられても…」

のしっと後ろから肩に手を回してくる青い子をぺしぺし叩くも、爽やかに笑い飛ばされてしまう。くそう、眩しい笑顔しやがって。小さいと言われているが私は平均身長である。遺憾の意。
彼の幼馴染曰くただのバスケ馬鹿らしいが、確かにバスケをしている時の楽しそうな顔は誰にも負けないと思う。なんて言うか、青春だ。

「理緒さん、おはようございます」
「あ、征十郎くんおはよー」
「……視力悪かったんですか?」
「え?……あぁ、今さっき緑間くんにもらったの。今日のラッキーアイテムなんだってー」
「そうなんですか。よく似合ってますよ」

にこりと笑う赤い子は、なんて言うか天使だった。今はまだ可愛らしい顔立ちだが、将来絶対格好良くなるに違いない。朝から眼福だと心の中で手を合わせる。
ちなみに赤い子こと赤司征十郎くんは親の縁で昔から地味に付き合いのある子である。親伝に聞いてはいたが、まさか本当に同じ学校で同じ部活になるとは、人の縁とはわからないものだと思う。

しばらく練習メニュー作成のためにほぼ付きっ切りになるのもあり、四人に懐かれるのは早かった気がする。小学校から上がりたての1年は、一つ上が凄く大人に見えるのだろう。見た目や運動神経は大人顔負けの四人でも、中身はまだまだ子供なんだと思うと可愛くて仕方がない。まぁ、私もまだまだ子供なんだけど。
一人一人のデータに情報を書き加え、徐々に距離が狭まる感覚に1人笑みを零した。




年下可愛い
(140629)

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