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 明けましたら

「今年もあと少しですね」
「そうですねー」
「何だか一年、すっごく早かったね!」
「そうですねー」
「今年も多くのお客様にご乗車いただき、まことに良い年でした」
「そうですねー」
「今年は去年よりももーっとリオと仲良くなれたね!」
「そうですねー」
「…リオ、さっきからずっと棒読み」
「どうかなさいましたか?」

瓜二つの顔に覗きこまれ、リオは無表情に近かった顔を引き攣らせた。誰のせいだ。そんな言葉を呑み込んで、溜め息をひとつつく。瓜二つの顔は顔を見合わせ首を傾げている。その姿に、もう一度溜め息。

「どうしたのリオ、元気ない?」
「元気ですよ、元気元気」
「お腹でも空きましたか?」
「お二人とも、今日が何月何日で、今が何時だかご存知ですか?」

いい加減痺れを切らしたようにそう言うと、ノボリは時計を見、クダリは「12月31日!」と笑顔で答えた。その答えに怒るのを通り越して呆れたリオは、先程とは比べ物にならないほど大きく溜め息をつくと、肩を下げた。

「もういいです…あぁ今年こそ実家に帰ろうと思ってたのに」

全国を放浪しているリオは、もう何年も年末年始に実家に帰っていなかった。たまには母の手料理を食べながらのんびりと家族と年を越そう。そんなことを考えていたが、気が付けば大晦日もあと少し、現在地はギアステーションだ。カントーまで帰るにはカイリューの背に乗っても数時間はかかる。つまり、今年もイッシュのポケモンセンターでポケモンたちと年を越すしかないのだった。
まぁ、私も悪いんだけど。ノボリとクダリに今年最後に最高のバトルをしよう、と誘われて、飽きもせずに何時間も手持ちを入れ替えてのフルバトル。年末だろうと年始だろうと電車は止まらない。結局バトルサブウェイが終わるまでバトルを繰り返した結果がこれだ。だから一概に2人だけを責めるわけにはいかなかった。

「申し訳ございません、リオさまの気持ちも考えず…」
「ごめんね、リオもたまには帰りたいよね…」
「えっいやそんな、」

だから改めて2人の落ち込んだ姿を見ると申し訳なくなるのだ。ノボリとクダリのわりと強引な誘いを断れなかった自分も悪いのだから、2人だけに当たるのはお門違いだった。少し言い過ぎた、と慌てるリオを余所に、2人はまた違うことを考えていた。

「(なーんて、ホントは今年こそ一緒にリオと年越ししたかったんだけどね)」
「(そう言ったら、リオさまは怒るでしょうか)」






「あっノボリさんクダリさん、明けましておめでとうございます!」
「ホントだ!今年もよろしくね、ノボリ、リオ!」
「本年もダイヤを守って皆さまスマイル、出発進行!でございますね」
「今年もよろしくお願いします、ノボリさんクダリさん」
「こちらこそ、今年もご乗車お待ちしております」
「一緒にご飯食べに行ったりもしよーね、リオ!」


何だかんだ今年も帰れなかったけど、こうして誰かと一緒に年を越すのも悪くない。


Goodbye 2011, hello 2012!!


サブマスで始まりサブマスで終わる2011^^^^^^
(111231)

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