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「光、京都行こう」

飲みかけのパックジュースに刺したストローを口に咥えたまま、目の前の女は天気の話をするかのように、さらりと言った。頭沸いてるんちゃうかと思う。言った本人は俺の返事も待たずに「京都に行ったら行く場所」をつらつらと上げている。あぁそうか、この人は元々こうだった。へぇ、とだけ言うと、不服そうにこちらを睨みつけてくる。

「今度の土曜日、部活休みでしょ」
「まぁ」
「じゃあ京都行こ」
「めんどくさ」
「……おいしいぜんざいのお店見つけたのに」
「よし、行きましょか」

反射的に言ってしまった時には既に遅し。にやりと笑った先輩は「決まりだね!」と嬉しそうに言うと、やっとストローから口を離した。



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財前と先輩シリーズみたいなの書きたい。



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