青空アンサー





"強くなりたい"とまるで口癖のように口していた僕は何時しか"強くなりたい"と言うことしか頭に無くて、ある日名前に"何の為に強くなるのか"と問い掛けられた。だけど、その答えは見つからなくて、ただ僕は沈黙していたこと。あの時の名前の顔はまるで自分のことのように悲しい顔をしていたのだ。


「…ねぇ、名前はさ」

「なに?」


何時ものように、彼女を引き止めて僕は勝負を挑んだが何時もように、負けてしまい今は公園のベンチで2人座っていた。沈黙の中、声を掛けると少し間を置いて名前から返事が返ってきた。


「あの時、強くなることはどう言うことか僕に問い掛けてきたけど…」

「……」


すう、と息を吸い込み深呼吸をした。なんだか僕らしくないや、と心のどこかで僕は自らを笑う。きっと、今聞きたいことは自分の答えが見つからないからだ。僕はきみに尋ねて、その答えを参考にでもしてきっと僕は嘘を並べるんだろう。情けない自分に嫌気が差した。


「…名前はどうなの?」

「…簡単だよ、」

瞬時に返ってきた言葉、陽気に笑う名前に内心で凄く驚いた。だって、彼女は僕が悩んで悩んで悩みまくったことをこんな速さでいとも簡単に口にし笑ったからだ。どうして?考えが何度も頭の中を廻り続ける


「私はみんなを守りたい」

「…え、?」

笑いながら話を続けた名前に首を傾げる。どうして彼女はこうも簡単と僕が一生かけても見つかりそうにない答えを言えるんだ?それに彼女が言った守りたいとはどういうことなのか、頭の中が段々と混乱してきた。

「…守りたいって」

「みんなだよ。只、私の大切な人達を守りたい、それだけ。…勿論チェレンもだよ」

だから、ね?そう言って僕の目の前まで手を差し出してくれた彼女を見れば、また陽気に笑ってから言葉を続ける。

「独りで深く思い悩まないで、理由が分からないのなら一緒に捜そうよ」

「…名前、」

「チェレンは独りじゃないよ」


差し出された手を僕は握り立ち上がる。握り締めたその手は凄く暖かくて、小さい筈なのにそれはとても逞しく感じられた。僕の強くなりたい理由は何か今分かったような気がした瞬間だった。不意に口元が緩む、


「チェレンが笑うなんて何年ぶりだろ?」

「…僕だって笑うさ、」

すっきりした心は何だか気持ちよくて、ついつい口元が緩んだ。目の前で笑う君はとても幸せそうで。僕はきっと、そうやって笑う君を守りたいから、強くなりたいんだと思ったんだ。


青空アンサー


end (20121113)




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