暑さに負けずとも




ごつん、と軽くだが本で頭を殴られる。「痛い、」と返せば「何度も言ってるだろう」と呆れ顔で私が今苦戦しているものに指を指し「ここはこうだ、」と丁寧にもう一度教えてくれる。だが私からしたらもう何を言ってるのかさえわからなくて呆れ顔ながら教えてくれているイタチの顔に目をやった。


「で、聞いてるのか?」
「わからないもん、」
「…だから教えてやっているんだろう」


はあ、とまたため息をついたと思ったらまた頭に軽い衝撃。「痛いよ、イタチ」頭を抑えながら口にするとまた先ほどした説明をし出した。正直退屈で堪らない、そりゃあ勉強出来ない私に丁寧に教えてくれているのに退屈だ、なんてかなり最低だけども折角夏休みに入ったと言うのに勉強ばっかじゃ私も耐えきれないと言うか…

「ね、海行きたいなあ」
「…これが終われば、な」
「……本当?」
「…ああ、」

こくり、と頷きながら口にしたイタチを見ては一気に疲れがぶっ飛ぶのが感じられた。イタチと海だなんて楽しみ過ぎて私幸せすぎるんじゃないかな…!

「…へへへ、」
「………」

にやにや、しているであろう私を横目にイタチが冷めた目で見ていたのを知ったのはこれから随分後のお話。


暑さに負けずとも




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