待っています、
目の前で今起きていることに私は息を呑んだ、とても信じられなくて。だけどそれはちゃんとした真実であって、目に溜まるものが流れ落ちるのが分かったんだ。
「…イタチ、だよね?」
片時も忘れることがなかった大切な人、やっと会えた。感動のあまりに情けないほど声が震えていて。だけど、ちゃんと聴こえていたようでイタチはうっすらと困ったように笑ってくれた。嗚呼、こんな笑い方イタチしか出来ないや。
「…名前か、」
「…そうだよ、名前だよ」
「…会いたかった」
今すぐにでも抱きつきたい衝動を私の中にある少しの理性で必死に止めた、泣いてしまわないように"行かないで"なんて口走ってしまわないようにと。今此処で、抱きついたりなんかしたらきっと歯止めが止まらなくなってイタチを困らせてしまう。
だったら、私が我慢して笑っていれば良いだけの事なんだ。
「…私も、会いたかったよ」
「……名前、」
「会いたかった、ずっとずっとずっと会いたかったの…」
だから会いたかった、なんてイタチから聞けるとは思わなくて思わず上を向いた。泣かないって決めたばっかりだって言うのに私って本当に駄目だ、
「もう、会えなくなる?」
「……」
一層、泣いて喚いて行かないでと言いたい。だけど言えないからこそ私は遠回しに聞いてしまう。分かりきっていると言うのにイタチを困らせてしまって、無言のイタチにごめんなさいと心の内で謝る。
「…すまない」
「……謝らないで、」
声だけでも分かるほどイタチは申し訳なさそうだ。嗚呼、こんなこと言わしたい訳じゃないのに何をしているんだろうか私は。あの時から何も変わっていないじゃない、変わろうって誓ったじゃない――――
「…待ってる」
「……名前、」
「待ってる、だから」
"帰って来てね"なんて、また困らせてしまうようなそんな言葉しか今の私には思い浮かばなかった。だから、イタチをちゃんと目線に入れて泣いてしまわぬようにと必死に笑って口にした。なのに、イタチは困るようではなくただうっすらと笑って小さく呟いた。
「…待っています、」
「…ありがとう」
きっと、暫くは会えなくなると私は思う。だけど私は待っているんだ、いつかイタチが帰って来るからずっとずっと待っている。だから、その時まで少しの間だけの―――――さよなら、なんだ。
待っています、
end (20120304)
久しぶり過ぎて書き方も変わってしまい挙げ句意味が分からないお話になってしまいました。なんだろう、伝えたい事が伝えきれていないような感じです。
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