罪の刃に血が伝う




ぞわり、身体全身に鳥肌が立つ。それを知ってか知らずかにやりと妖しい笑みを浮かべ私の首筋へと顔を埋められる。

「………っ、ぅ」
「どないしたん?」
「…止めて下さい、市丸隊長」

ざらりとした感触が首筋を伝い小さく声が漏れる。それを聞いてか市丸隊長は笑みを深めてまたしても首筋に舌が這うように舐められぎゅ、と目を瞑る。


「…ど、して…私なん、か」
「んー?当たり前やないの」


私はただの平隊員でありとてもじゃないが隊長格と話した事も無ければまともに顔を合わせる事もない。特別な力も無ければ戦うにも弱い。何か理由があるとは思えない。

「…まあ、暇つぶし?」
「…………な、」

何の戸惑いもなくへらりと笑って口にされた言葉に私の身体は凍りつく。暇つぶしでこんな風に遊ばれる私は一体何なのか、本気で問いたくなるが問うた所でろくでもない答えが帰ってくるのだろう。

「…私は、隊長の暇つぶし道具では御座いません」

必死に言葉を探して息をしながらゆっくりと口にし隊長の胸を押し返す。がたがたと震える身体に鞭を打ち立ち上がる。

そうする間も何時もの笑みを崩さない隊長はまるで私の全てを見透かしたようにクスクスと笑い出したかと思うと勢い良く腕を掴まれた。

「――――っ、ぁ!!」
「細いなァ、簡単に折れてしまいそうや」

ぎちぎち、と締まる腕にある手に顔が歪むのがわかる。歪む顔を見ては楽しそうにその行為を続けようとする隊長の手を必死に振り払おうと試みるが外れる事もなく力は緩まず痛さが増すだけ、

「……っ、い、たいです!」
「当たり前やないの、力入れてるんやから」

「――――離して下さい!!!」


きつくなる力に腕が折れそうな程の激痛に叫ぶように口した。けれど外れる事はなく変わりに顎をぐい、と持たれては隊長の顔に引き寄せられる。

「なら、僕の言う事これから何でも聞く覚悟ある?」
「………っ、言う事…?」


「僕と一緒に反逆者になろか」
「…は、んぎゃく…しゃ」

にやりと笑みを深めた隊長は面白そうに私の反応を伺う。がたがた、と身体が震え隊長の口にしたものをオウム返しのように呟いた。

「藍染隊長も居るで?」
「…藍染隊長、が?そんな、」

そんな馬鹿な事、口にしようとするものの声が出ない。もしそれが本当なら急いで他隊長や総隊長に話さないと尸魂界が危ない。

「他に告げ口する気なん?」
「―――ああああ゙っ!!!」

ぐちり、と肩に刺さる異物に目をやると私の血で汚れた市丸隊長の斬魄刀が見える。刺されたんだ、と理解するのは早かった。

ぽたり、と斬魄刀を伝い隊長の腕から地へとそれは流れ落ちる。激痛の余り手で抑えようとするが先程から掴まれていた手が両手へと変わっていて抑える事も出来ない。

「……い゙た、い…」
「告げ口なんかやろうもんなら殺すよ?」

へらりとまた笑い肩に刺さっていた斬魄刀を容赦なく引き抜くと今度は首へとそれを近付ける。ぷつり、と斬魄刀で小さく破けた皮膚からは赤い血が一筋に流れるのがわかる。

「…私はどう、すれば…」
「……偉い子は好きやで」


くっ、と唇を噛み締め声にした言葉に隊長はゆっくりと私の頭を撫でた。


罪の刃に血が伝う




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