歪んでしまったもの





どうして、こんな風になってしまったのかそれは自分でも判らなくて。


「………っ、あ゙あ」

右腹辺りが急激に熱く少し動くだけでも激痛が私を襲った。息をするのも儘ならない状態が数時間も続きそろそろ限界だと身体は悲鳴を上げる、だが私が今この状況から解放される術なんて無に等しい。

「あかんで、ちゃんと返事聞かせてくれな気絶なんてさせへんよ?」

「――い゙、ああああ゙っ!」


「ほら、早よ言うてしまい」


"楽になるんちゃう?"なんて目の前の男はけらけらと嗤いながら私の右腹に刺さる斬魄刀を動かした。その度に言葉では言い表せないほどの激痛に私は呻く。それすら面白いのか先ほどの行為よりもより激しくなりもう、どうにかなるんじゃないかと思うほどの激痛が身体中を走る、


何度も気を失いそうになった。なのに、それすらも許されないようで男は激痛を私に与え続けるのだ。



「…っ、お止め…下さい」


"市丸隊長"と自分の上司である名を呼ぶ。こんなこととてもじゃないが許されることではない、右腹に突き刺さる市丸隊長の斬魄刀を見れば自分の死覇装から大量の血液が流れ落ち、斬魄刀にも血液がこれでもかと言うほどべったりと付着していた。

独特的な鉄の匂いと大量の血液消費の貧血からか視界がぼやき、意識もそうはっきりとしなくなる。だが、やはり激痛により気を失うことは出来ないが。


「僕かて、好きでやってるんちゃうよ?」


"藍染隊長が言うんやもん"なんてへらりと笑った市丸隊長、実は前々から何か可笑しいなとは思っていた。あの何かあるような藍染隊長の笑みは苦手の類であって、だがそれが好きだと言う人もいた。


「…さ、きほど言われた話、本当なの、ですか…」

ひとつひとつの言葉すら発するのが辛い中、もう一度聞いておきたかったことを口にする。そうすればへらりと笑いながら"そうやで?藍染隊長は反逆者やで"と愉しそうに口を開いた。


これが、もし本当なら一刻も早く知らせなければならない。死人が出てからでは遅いのだ、かといって今のこの状況から逃れる術がない私は知らせることは出来ない。

「…そ、んな馬鹿なこと」


なら、私のすることはひとつであって。そっと袖に忍ばせてあった小型の刃物を手に取る、ぎゅっと握りしめて決意を決めようとした瞬間だった


「何してはるん?」

「―――っ、うあ゙あ!」


バンッ、と手に持つ小型の刃物を払われ斬魄刀をぐちぐちと動かされる。市丸隊長は私が持っていた小型の刃物を手に取り笑う、

「こんなもんで死のう思たん?」

「………っ、」

「ほんま、面白いなァ…」

私の目の前まで歩を進め小型の刃物をちらつかせる。手を伸ばそうにも私には既にそんな力すらも無くなっていた、


「君は死なれへん。答えは最初からひとつしか無いんやから」

虚ろになる意識の中でへらり、とまた笑う市丸隊長すらも今の私はまともに見えず、ただただぼやく世界が続くのみ。



歪んでしまったもの

end (20120312)


* * * *

市丸さんの更新が続くのですが、連載が全く進んでいないです…。




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