寂しさに壊れる二秒前





必死に頬を吊り上げて笑ってみる。でも、やっぱりそう上手くはいかないんだって分かっているから私は顔を伏せる、本当は抱き付いたりしたいの。それすらも私は我慢しているんだよ、



「…なんで、泣くん?」


泣いてないよ、なんて反論出来なくて私はただ黙り込んだ。分かっているくせに本当にギンは最後の最期まで意地悪なんだから。だけど、それすらも愛しかったりする私はもう末期なんだろう。



「……本当、馬鹿だよ」


私も貴方も本当に馬鹿なんだ。一層何もかも捨ててしまって逃げてしまえばいいものの、それも出来なくて、結局もがき悲しむのが私と貴方の末路なのね。


「…名前、」

「…ギン、好きでした」


ぽつり、と口にしてみた言葉は余りにも私を虚しくさせた。どうして、こんな形になってしまったんだろうかと何処で道を誤ってしまったんだろうかと考えても分からないことばかり考えた。そして"好きでした"と敢えての過去形にギンも続けて口を開く。



「…僕も、好きやったよ」

「……ありがとう」


泣くな泣くな泣くな泣くな、そう何度も自分に言い聞かせて私は感謝の言葉を述べた。私が何度も言い聞かせていたお陰なのか涙も流れることなく言えた。



歩き出したギンの背中が少しずつ少しずつと小さくなっていく。もし、私が此処でギンを追い掛けて止めてしまえば彼はずっと私と居てくれるんだろうか?なんて出来ないことばかり考えてはギンの背中を目に焼き付ける。そして、届くはずもない手をゆっくりと伸ばして宙を掴む、それで"嗚呼、もう届かないんだな"って改めて実感する。



「…届かない、や」

ぽつり、と一度涙を流してしまえばそれがまるで合図かのように次々に流れ落ちてしまう涙を何度も何度も拭き取るけれどやっぱり止まらない。

好きでした、なんて本当は過去形なんかじゃないんだ。今も昔も変わらなく好きなの、ギンなら分かってるよねなんて自己解釈してはまた頬を流れる涙を拭き取るの。


寂しさに壊れる二秒前


end (20120304)

久しぶりに書いてみればやはり短くなってしまいました。なんと言うか熱は上昇なのに文で上手く表せられないのが悔しいです。




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