崩れ落ちて消え去るまで





よっ、と軽々僕はお気に入りである屋根へと登れば当たり前のように座っている人物へと目を向けた。


「また、サボリ?」
「市丸隊長だって、サボリ」


僕はいーの。そう言えば不満そうに頬を膨らました彼女に不意にも笑みがこぼれた。僕らしくない、彼女は僕を狂わせるのが上手いわ。

「市丸隊長ー、」
「どないしたん?」

「……好き、です!」


何時もの彼女は何処かに消えて頬を赤くしながら口に出した言葉に僕はため息を吐き出す。



「…もう、騙されへんよ」
「えー、残念だなあ」

先ほどの表情とは打って変わりへらり、と笑った彼女にまたもや僕はため息を零す。前の僕は彼女のあの言葉に見事騙された、そして冗談だと言われこれでもかと言うほど爆笑された。


「それ誰にでも言うてるん?」
「どうでしょーね?」

彼女はとても掴めない性格で僕ですらも彼女が今何を考えているのかわからない。

「…名前ちゃんはほんまにわからへんなァ」

「ありがとう御座います!」
「……褒めてないんやけどな」

何故か嬉しそうに言う彼女に内心呆れる。この子は僕に比べたらまだまだ子供やけども時にまるで僕の全てを見透かしたかのような言葉を口にする。


「ねえねえ、市丸隊長。最近藍染隊長何か可笑しいと思いません?」

「……なんで?」
「だって、」


それが今これだ、全てを見透かしたような彼女はまたしてもへらりと笑いながらはっきりと口にした。確かに藍染隊長は着々と準備を進めてはいるが誰かに見つかるようなわかるようなそんなヘマはしない筈、なのに




「だって、最近の藍染隊長嬉しそうだから」


この子はまるで僕らが起こそうとしていることなどを知っているかのように口にする。

「…嬉しそうやから?」

「まるで何か夢が既に手に入ったかのように、」

「………」

くすくす、と笑う彼女の表情は余裕綽々と言うべきか、興味ないと言うのか。ただ笑っている。

「ねえ、市丸隊長」
「…なに?」

「……私がもし隊長に刀を向ける日が来たときは逃げて下さいね」

「…何言うてんの、君はほんまにわからへんなァ」


ただ笑っていた彼女は最後に悲しく笑ったかと思えばそれはまるで嘘のように彼女の表情は楽しそうに変わる。



「…あー面白くなってきた」

彼女の声が空へと消えた。


崩れ落ちて消えるまで

end




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