「………ん、」
チュンチュン、と鳥が鳴く声で起きるとまあ…ありきたりなシチュエーションで目覚める。今日この頃嫌な予感と言うか胸がモヤモヤすると言うか…
「……何だかな」
ちらりと周りと見るが何時もと変わらぬ一心さんに与えられた一護と同じくらいの我が部屋が見える。シンプルに必要なものしかないこの部屋は意外に黒崎家で一番殺風景かもしれない。
少女が視るべきもの
「……はよー」
「おはよう、悠輝お姉ちゃん」
朝の挨拶を交わし出来た食パンをかじる。夏梨と遊子はかなり早起きだ、それに比べ一護は…
「おはよう、お兄ちゃん」
「おはよう、あれ親父は?」
「会合だって今夜は居ないよ」
「…そうか。お、悠輝起きてたのか?」
ちらりと俺を見ると同じく食パンをかじりながらおはようと言われ返すと機嫌悪いのか?と聞きにくる一護。
「そんな機嫌悪そうだった?」
「……まあ、な」
「別に、悪くないよ」
そうか、とだけ返した一護は何故かテレビに夢中だ。そう言えば最近妙な事件が増えたと聞く。何もない場所に突然亀裂が入ったり物が壊れたり。今テレビでやっているニュースもそれだったりする。
現在やっているニュースの現場はどうやら空座町らしい。
「………近いな」
「……、」
* * * *
「おーい、」
「それ端から見れば危ないぞ」
学校の登校中に昨日約束した花を供える為向かって来てみたが女の子は居ない。それを一護が大きな声を出すものだから端から見ればかなり危険だがもしかしたら成仏したんじゃ、
「きゃあああああああ!!!」
「「……!」」
遠くだが聴こえた声は間違いなくあの女の子だ。一護も気付いたらしく目が合う
「了解。」
何も言わずとも毎回交わすこのやり取り、兎に角俺は霊を感知する事が以上に出来たりする。
ゆっくり深呼吸を一度し目を閉じ集中する。意外にすぐに見つけたが場所は人通りが多い。
「こっちだ、一護!」
「…ああ!」
走りながら場所へ向かう、後ろから一護が付いてきているか確認しながら。
目的地付近に到着した途端何かが建物を切り裂く跡や煙が舞った。どういう状況かいまいちわからない俺達は煙の前に立ち止まる。
「何なんだ、これ…!」
「…そんなもん俺に聞くな!」
煙に呑まれながらも前を見やる。うっすらと開けている目に映ったのは見たこともない化け物にあの女の子。
「……なんだ、あれ」
「そんな事よりあの子を!」
「…あ、ああ!」
見たこともない化け物に戸惑う一護。だがそんな事より女の子の方が大変だ、
「……きゃっ!」
「……!」
走ってきた女の子の腕を引き必死に逃げるが不意にも女の子は足を滑らした。
立ち上がらそうと手を伸ばすが化け物は既に目の前。よくよく見れば化け物は顔に白い仮面を被っている。
「……な、んだよ、」
どくん、と胸の辺りからモヤモヤが発生し頭が痛い。こんな時に自分は何をやっているのか、目の前の化け物が大きな口を開ける。喰おうって気なのか、
「………っくそ!」
声を上げるものの頭が割れそうに痛いのと息のしにくさで朦朧とする。駄目だ、と思った瞬間一護と俺の目の前に黒い蝶がふわりふわりと飛び次には黒い着物のような物を身にまとった明らか俺達より幼い少女が目の前に飛び出す。
「……だ、れだ?」
少女は腰にある刀を抜きその化け物を切り裂く。その姿はまるで昔居たような侍のようだ、切り裂かれた化け物は跡形も無く消え去り少女はあたかも当たり前のように刀を収めちらりと此方を見てはふっ、と姿を消した。
「……お前!」
「………、」
声を掛ける一護だが既に少女は姿を消し何時もと変わらぬ街中になる。先程の頭痛と息苦しさは治っていたが胸のモヤモヤは治らない。さっきの化け物と言い黒い着物の少女と言い何故か釈然としない。
「大丈夫か、悠輝」
「ああ、取りあえずあの子は」
大丈夫だ、と言われ安心する。喰われたりでもしていればどうなると思ったが大丈夫だったようだ。それより、あの少女ばかりが頭の中を回る。
周りの人たちはどうやら無事のようで辺りから不安の声が聞き取れる。だが、先程の少女と化け物が見えていないらしく爆発と発言する者までいる。と言うことはあの化け物は勿論少女は人間ではない、と言うことか
モヤモヤとする胸は何時しか俺から何かをえぐり取ろうとしているように思える。何かをえぐり出して俺に見せ付けようと。
「……嫌な感じだな、」
end