「ああッ!ちくしょう!!見失っちまったじゃねぇか!!」

「…見事に見失ったな、」

見失った改造魂魄にかなり焦っている一護に何故か冷静なルキア。どうしてそんなに焦っているんだと疑問に思った矢先一護はわなわなと震えだした。


不公平な



「…俺、て言うかアイツは俺の身体を使って井上とたつきのボケにキ…キッ…キ…!」

「キッスをしたようだな」
「キッス!!!?」

なかなか言い出さない一護にルキアがさらりと口にする言葉に俺は大きな声で聞き返す。一護が井上さんと有沢さんにキスを?

「だああああ゙!!言うなボケ!恥ずかしいだろ!!それに悠輝、俺がしたんじゃねぇ!!俺の身体に入ってるアイツがしたんだ!」

らしくない一護はうだなれながらコツコツと積み上げてきたイメージだとかを気にしているがまさか一護がイメージ作りをしていたのか。

「…そういやルキア、」
「…なんだ?」

「改造、魂魄って何なんだ?」

未だにうだなれている一護を放っておいてルキアに改造魂魄について問うとゆっくりと話し出してくれた。






改造魂魄は嘗て尸魂界で死んだ人間の肉体に戦闘特化された魂を注入しそれを対虚用とし使おうとしていた尖兵計画と言う計画が持ち上がったらしい。その時開発された魂はその肉体の一部を超人的にに強化できる戦闘用疑似魂魄、それが改造魂魄と言う。

だが尖兵計画は完全成立前に廃案なり同時に開発途中の改造魂魄全てに破棄命令が出されたのこと。だが何故それが今此処にあるのかが謎だ、それに…




「って事はなにか…あいつはお前ら尸魂界の都合で作られて、尸魂界の都合で殺されるって事か…?」

一護の言葉に辺りはしん、となるがすぐにルキアはゆっくりと口を開きそう言う事になると口にした。

「…それでお前は納得してんのかよ?」

「…納得するしないの問題ではない。改造魂魄は破棄しなければならぬ!これは尸魂界の掟なのだ。そして忘れるな…尸魂界の掟と言うのは貴様ら人間の魂を守るために定められているのだ!!」

ルキアの言葉に一護と俺は何も言えなくなった。確かにルキアたちの掟は俺達人間を守るためにあるがあの改造魂魄は何とか尸魂界から抜け出せ一護の身体を手に入れたがやっぱり逃げ回らないといけない。それは一体どんな気分でどんな気持ちなのだろうか?






「……取りあえず、まずはあいつを探そう」

ぽつりと呟いた俺の言葉に一護とルキアはこくりと頷いた。






一護とルキアの見ると直ぐに気を集中させるが、異変に即座に気付く。



「……わからない、」

……奴の場所を探ったりするものの良くわからない。何時もならば直ぐに居場所を察知出来たはずなのに、何故…?


考えれば考えるほどわからない。どうして―――――











――――――ピピピッ、と突如ルキアから聞き覚えのある音がする。一護はその音が聞こえた途端嫌な顔をする。

「何だよ、こんな時にまさか指令だとか言うんじゃ…」


「…残念だがそのようだ。近いぞ…!」


"近い"その言葉に気を集中させればわかる。虚の居場所、


「…こっちだ!」

気をしっかり集中させその居場所に向けて走り出した。





















* * * * *


「見えた…!あれか!?」


一護の言葉に立ち止まり指差す方向を見ればでかい百足のような虚だがもうすでに一護の身体の改造魂魄と戦っていた、


「…あれは、」
「…あのボケェ…!」

「……一護っ!」



走り出した一護を追いかけるが一護は早い、


ルキアと共にビルを急いで駆け上がれば見えてきた屋上のドアを勢い良く開いた。



「…ちょっと待てよ!そいつどうする気だよ!!?」


一護の声が響く、一護の身体に居たはずの改造魂魄も今は抜け殻のよう…


急いで駆け上がったせいか息があがる。だがそれよりも、










「……あなた、は」


「おや、今朝ぶりっスね〜悠輝さん」




息が止まりそうになる、今朝俺を死神と言い俺の"何か"を知る、人物。














「……浦原さん、」



何故、この人が此処に居るのか。何故、いま一護に接触をしたのか。疑問が止め処なく溢れ出すものの聞くことも出来ない。

「…悠輝、お前こいつと知り合いなのか…?」


先ほど会話を聞いていた一護は驚きを隠せないように目を見開いて俺に問うたが自分自身なんて説明すれば良いのかわからなかった。


「…おい、悠輝!」

一護は答えない俺にもう一度声を掛けた瞬間ぱしっと浦原さんの手にある小さな丸薬みたいなものをルキアが奪い取りそちらに目を移す。


「…ちょ、朽木さん!?」

妙に焦る浦原さんは小さな声でルキアに何かを言うがルキアは清々しい顔をしている。あれは一体なんだと言うんだろうか


「それより、浦原…お前悠輝と知り合いなのか?」

「……!」

びくり、と肩がルキアの言葉に跳ね上がった。当の聞かれた本人は余裕に笑ってみせている、


あの時、あの出来事は自分で言うと決めたが正直いま言う気にはなれなかった。突然過ぎてあれは夢なんかじゃないか、と疑うことしか出来ない自分だけだったからだ。

だけどいつか、いつかは言う。俺が死神だと言うこと、それに過去に何かがあったことも


「………」


あの人はいま俺が死神で昔俺と関わっていたことを言うんだろうか?不安の色が隠せず浦原さんをみれば何故か俺だけがわかるようにうっすらと笑って見せた。


「……悠輝さんは今朝知り合ったお客様ですよ」

「……お客様?」

「…私の店の駄菓子を買ってくれましてね、いやいや本当にありがとうございました」


にこり、と笑いながら口々に嘘を並べる浦原さんが凄いが自分的にもそれが嬉しかった。


「本当、か?悠輝」

「…う、うん、駄菓子が美味しそうでつい」


精一杯嘘だとバレないように自然に言えばルキアも一護もそうか、と納得してくれた。


……まあ、危機は逃れたはずだろう。安心感からは小さいため息が出る


「ほれ、」

その中一護はルキアからあの丸薬らしきものを手渡されたようで。あれはどうやら改造魂魄らしい、戻ってきたことで喜んだように笑みを見せた一護に自然にこちらも笑みが浮かんだ。




end


(20111208)