「………っ、」

朝の日差しの眩しさにゆっくりと目を開ける。今は何時だろうか、それに一護はちゃんとルキアに朝ご飯を持って行ってやってるのか、起きたての頭で考える。それよりまず、何だか身体がだるい。


嫌でもは進む




暫くと言うかだいぶ布団に潜っていた。起きてはいるが身体がだるい。それに今は動きたくない。今日の学校どうしようかな、と考えを巡らした時だった。

ガバッと勢い良く布団を剥がされ吃驚し慌てて布団を持って行かれた方向を見ると既に制服姿の一護が目に入った。

「おーい、悠輝朝だぞ」
「……一護、」

「…お前、顔色悪くねぇか?」

すっ、と一護の大きな手が俺の額に当てられる。暖かさについうとうとしてしまうが先ほど慌てて動いたせいかだるさが増す。

「…身体、だるいんだよ」
「…風邪、か?」

わからない、と返せば呆れた顔で見られたがすぐさま身体を倒され布団を掛けられる。

「…昼過ぎ、に行くわ」
「……良いから休め、」

一度言い出したら聞かない一護だとわかってはいるが休んではいられないし出席日数も危ないから取りあえずゆっくり行くことにする。行かないより昼過ぎから行った方が良い。

「あれ、ルキアは?」

俺の問いに一護は知らん、と口にしたがどうやら朝ご飯を持って行くころには居なかったらしい。

まあ、ルキアの事だからきっと直ぐには帰ってくると思うが一応ルキアの居場所を探る。

「………?」

ルキアの居場所はわかった。が俺や一護は知らない場所だし俺がルキアの居場所を探った中で今まで一度もそこに居た事が無かった場所だった。
















* * * *

あの後一護が学校へ行きルキアも学校に向かっている。自分もそろそろ学校に行かなければと用意を済まし家を出る。

だが、向かう先は学校とは少し違う。あのルキアが居た場所だ、…別にルキアの私事を探ろうとしている訳ではないがどうも気になる。いつしか、足はその場へ歩を進めていた。


「……此処、か?」

着いた先は小さな駄菓子屋らしき場所で小さな子供が出入りするような場所だ。ルキアがこんな場所に来ること自体考えにくい。

「……浦原、商…店…?」

看板に描かれたでかでかとした文字を読むと此処は"浦原商店"と言うらしい。怪しそうな感じがたまらなくするのは何故だろう、

「おや、イラッシャイマセ」
「―――――!」

真後ろから聞こえて来た声に慌てて振り向く。そこには緑と白色をした帽子を深く被り顔が分からなく服は甚兵衛で何故か下駄を履いている人が立っている。これだけでも不思議なのだがそれ以前にこの人の感じに何故か違和感を覚えた。

「…あんた、き…すけ…」
「あれ、思い出したんスか?」

「……は?」

勝手に口から出た言葉に前の男は少し吃驚したように俺に問い掛けるが自分にもわからない。それより、思い出したとはどういう事なのだろう

「…思い出したって、何だよ」
「あー…、そうっスよね」

今のあなたはあなたじゃないんでした、と意味がわからない言葉ばかりを並べられる。ドクン、と心臓が大きく波打ったように感じた。

「…仕方ないっスね、今のあなたには力が必要だ」

「…だから、何を―――!」

はあ、とため息を吐かれわけがわからない言葉ばかり言われ苛立ちに声が大きくなった途端、目の前に見えた棒を慌てて避ける。

「避けたら駄目っスよ」
「突然、そんな棒向けられたら誰だって避けるわ!」

そうっスか?と悪気が全く感じられないこいつに苛立ちを覚えるがその前にまた棒を向けられ慌てて距離を置く。

「やだなー、痛くありませんよ」

「痛いとかそんな問題じゃあないだろ…!人に棒を向けるな!!」

明らかキレながら向けられた棒を指差すとへらへらと笑う男は衝撃的な言葉を簡単に口にした。

「何言ってんですか、今のあなたは自力で死神化出来ないでしょう?」

「……し、にがみ?」

何を言ってるんだ、と言いたいのはこちらだ。死神化とはどういう事だ、自分は死神なのか?まさかそんな事ありえない。ドクンとまた心臓が大きく波打つ。それを抑えるように俺は胸に手を添えた、

「…あなたはれっきとした死神なんっスよ、悠輝さん」

「…なんで、名前を……」

名前を口にされ自分でも分かるようなほど動揺し隠しきれない。ジャリ、と地の砂利を踏む音にやっと我に返り後ずさるが既に時は遅く、目の前にはあの棒が迫っていた。


end

(20110915)