「お、なんだその鳥…」

ガシャン、と地に置いた鳥籠の中の白い鸚哥に皆が釘付けになる。そして白い鸚哥は悠々と片言で話し出し俺は息を呑む。



寂しがりな子供



「コンニチワ、ボクノナマエハ"シバタユウイチ"オニイチャンノナマエハ?」

「「「………!」」

異様に綺麗に話す鸚哥に一護もルキアも息を呑むのがわかった。この鸚哥には憑いていることも、

「…チャド、この鸚哥何処で」
「……昨日……………貰った」
「待てぇぇえい!!」

チャドの強烈な合間な素早く啓吾がツッコミを入れる。チャドのことだからきっと長く話すのが面倒だから簡単に済ませたのだろう、啓吾にはしょったと言われるが断然はしょってないとの事。

「………」
「案ずるな、 確かに何か入ってはいるが悪いものではない。寂しがっているだけの霊だろう、ただ…放っていくと言う訳にもいかん。今夜辺り魂葬に向かった方が良いだろうな」

「なら、まだ大丈夫なんだよな」

「…ああ、危害はまずないだろうな」

それは良かったと口にしながら先ほどまで苦戦していた紙パックジュースを貸して貰いストローを挿し込む。一護は睡眠時間が削られるやら言っていたが素直にルキアの事を聞いていた

「…ほら、ルキア」
「…すまん、」

ストローを挿し込んだ紙パックジュースをルキアに差し出すとゆっくりと俺の手から受け取り大人しく飲み始める。どうやら気に入った様子だ。

ルキアがジュースを飲み始めると一護はゆっくりとチャドと初めて出逢った事を話し出した。そう言えばあの時でもチャドはどんなに絡まれても手は出さなかったなあ、

「…変わってるな、」
「……ああ、」

昔からチャドは自分絡みだと手は出さないが一護や俺絡みだと助けてくれた。あの時からだった、チャドと俺たちが共にずっと居たのは。





* * * *


「どいたどいたどいたぁあぁあ!!!!」

「「……うお、っ」」

ただいま、と門限を守り帰ってきたかと思うと凄いスピードで走り去る夏梨を目にし俺と一護は慌てて道を作る。その後を急ぎ足で遊子が来る。

「あ、お兄ちゃんお姉ちゃんお帰り!」


「…何の騒ぎだ、こりゃ…」
「事故!そこの十字路で交通事故があったの!」

看護士姿の遊子は荷物を持ちながら説明してくれる。どうやら交通事故があったらしい、一護と顔を合わせた途端隣の部屋から一心さんの怒鳴り声に一護と2人ゆっくりと部屋を覗く

「クソッ!!トロトロしやがって下っ端が…!」

「……お…親父、」

何時もあのヘラヘラとした一心では無く不機嫌で忙しそうにしているのが見えて恐る恐る一護が声を掛け手伝いを求めるが無いらしく端でうずくまっている

「……一心さん俺、手伝います!」

「…ああ!宜しく頼む!!」

取りあえずうずくまっている一護は置いといて慌てて、手伝いに加わる。奥に入ると沢山の人が運び込まれゆっくりと運ぶ。

「悠輝ちゃん!こっち頼むー!」
「…あ、はーい!」

運び終わり一心さんに呼ばれ向かうと一護も呼ばれたんだろう、来ていたが次の瞬間一心さんに運ばれている人が目に入り息を呑む。

「……チャド…!?」

一心さん等に支えられているのはあのチャドだ。手にはあの鸚哥の籠がしっかり握られている。


取りあえずチャドを椅子に座らし傷を見るために背中の服を一心さんが捲ると痛々しい傷が目に入る。

「ひでぇな、こりゃ…。火傷みてぇになってるぞ」

たが、その痛々しい傷からあの感覚がゆっくりと小さく起き始める、はっきりしていないがこれは虚の感覚だ。一護も気がついたように顔を歪ませチャドを見る。

「こりゃ、暫く大人しくして」
「…いや、もう大丈夫っす」

一心さんの処置中にチャドは明らか無理を立ち上がり服を着ては歩き出す一心さんが止めた途端やっぱり無理をしていたようでふらり、と倒れ渋々ながらもベッドへと運ばれるチャド、

直ぐにルキアに知らせる為に二階の一護の部屋に居るであろう、そこへ向かうと既にルキアは一護のベッドへ腰をかけている。

「……感じたか?」
「無論だ、この部屋に居ても気付いた。鸚哥から何も感じなかったが奴の傷からは虚の匂いがした…」

それはチャドが虚に襲われ傷付いたと言うことだった。そしてチャドはもう一度虚に狙われると言うことも


end