「…あー、ふあ〜っ、」
「……なんつー欠伸だ、」

昼休みの屋上で身体の疲れが睡魔へと変わり何時もと変わらない欠伸をすると変わらない一護からのツッコミ。まあ、一つ変わったと言えば此処にいるルキアの存在だ。


を被るもの




「しっかし、まあ…怪我した所が1日で治ってしまうなんてな…」
「…だな、」

昨晩の井上さんの事件で一護は額、俺は肩を怪我したがルキアの鬼道とか言う術で傷は跡形も無く消えて痛みもない。

不思議そうにペタペタと額を触る一護を目にルキアは得意気に口を開く。

「驚いたか、私は鬼道の成績がトップクラスだったからな。そのくらい朝飯前だ」

「…成績?なんだ、死神って学校あるのか?」

「…まあな、」

トップクラスの実力があったとされるルキアはふふん、と得意気に笑う。確かに跡形も無いしそれなりの実力者だったんだろう、それに死神にも学校があるだなんて何だかんだ言って死神もちゃんと学んだりするんだなあ、と内心考える。かなり失礼だが、

「それより、これはどうやって飲むのだ?」

そう言って先ほどと打って変わっての表情をしたルキアが差し出したのは紙パックジュースだ。

「…ストローを挿して飲む」
「……ストロー?」

「これ、これがストローって言うんだ」

飲み方が分からないルキアに自らの珈琲牛乳を出して説明する。どうやらストローも見るのが初めてらしく俺の珈琲牛乳をちらちら見ながら自分の紙パックジュースを弄っている。


「あれ?また一緒に居る。悠輝と一護は一緒だけど朽木さんと三人だなんて君たち随分仲が良いんだね」

「……水色、」

ルキアが紙パックジュースに苦戦しているからやってあげようと貸してと言おうとした瞬間聞こえて来た声の主の方に顔を向ける。

声の主は小島水色、何かと仲が良くて俺も結構話したりするがかなりの女たらしだ。まあ、年上キラーだ、その可愛らしい顔を年上の女性に振りまき虜にさせてしまう所謂悪魔野郎。

「あほ、これが仲良しに見えるか」

水色の言葉に呆れながらものを言う一護。当のルキアは全く気にしていない、と言うより紙パックジュースの飲み方について必死だ。

「…違うの?まあ、君が否定するなら別に良いけどさ。何て言うか、一護もうちょっと周りの目とか気にしたら良いよ」

「あほか、俺がそんなもん気にしてたらとっくに髪の毛黒く染めてんだろ」

「…そうか!これか…!」

それもそうだね、と笑みを浮かべた水色は今度はやっとストローがわかったらしいルキアに話掛ける。水色に話し掛けられたルキアはさっきとは別人で清々しく輝いている。

「まだ、ちゃんと自己紹介してなかったね。小島水色、15歳、趣味は…」

「「…女遊びだ。」」

「ええええっ!!違うよ!二人して酷いなあ…!」

自己紹介を始めた水色の趣味に一護と揃って言うと水色は声を上げて否定するが良くもまあ否定出来る。

「こんな顔してもの凄いたらしだからな、」

「それは、悠輝もでしょ」
「たらしした覚えねーよ!」

何故か自分までたらしと言われ否定するが何故か一護も小さく頷きやがった。二人していつ何処で俺がたらしなんてしたんだよ、

「…まあ、気をつけろ」
「やめてよ!イメージ悪くなっちゃうじゃないか!!」

明らかかなり年上のルキアに一言言っておく一護だがルキアは未だ紙パックジュースに夢中だ。

「それに僕は年上の女性にしか興味無いの」

「だから、気をつけろって言ってんだよ」

「………え?」
「……何でもねぇ、」

そう言って一護はちらり、とルキアを見る。確かに見た目に合わずかなり年上だからなあ、危ないな…

たが水色がそんな事知ってはいなくてきょとんと一護を見る。その目線に気付いたであろう一護は何でもないと口にする。当のルキアはストローが分かったようだが挿して場所が分からないようだ、

「そこに居るのは美少女転入生の朽木さん…!どうして此処に!!?」

「……啓吾、」

珈琲牛乳を口に含んでいる所にこれまた煩い奴が登場する。呆れながらも話を聞いてるとしょうもない事ばかりだ、

「良くいらして下さいました隊長!こんなむさ苦しい男の園へ…!!」

「誰がむさ苦しいんだ、お前だけだろ?」

「相変わらず冷たいなあ、悠輝は…!」
「…だから、煩い」


啓吾のハイテンションにルキアも付いてゆけず苦笑いだ。本当に煩いしか取り柄がない奴だと言っても過言ではない。挙げ句の果てにはパーティーとか言い出しやがったよ、こいつは

「ああ、朽木さん!困った事があったら何でも俺に言って下さいね…!」

「…!本当!!?」

にやにや、と口元をさせながら啓吾が言うがルキアにはそんな事どうでも良いようで兎に角紙パックジュースの飲み方を知りたい一心らしい。へらり、とまた啓吾が笑うが後ろの存在に気付き振り返る。

「よお、チャド」
「……む、」

「…お前、怪我したのか?」

啓吾の後ろに居たチャドに一護が声を掛けると相変わらず無口だが一言発して挨拶するがチャドは頭やら手やらを怪我している。慌ててその事について問うと此方の焦りとは全く真逆のゆったりとした口調で話し出す。

「…頭のは昨日鉄骨が落ちてきて」
「…て、鉄骨!!?」

「手とかのはさっきオートバイと正面衝突した」

「……は?」

ゆったりとした口調で話すチャドだが内容が余りにも過激過ぎて辺りはしーんと静まり返る。チャドは嘘付くような奴じゃないが流石にオートバイと正面衝突は救急車で運ばれなきゃ駄目だろう、

「…で、バイクの人が重傷だったから今病院まで負ぶっていった」

「…そ、それで遅かったのか」

「…って言うか相変わらずなんつー身体してんだよ…」

オートバイと正面衝突しチャドが重傷では無くバイクの人が重傷だなんて何て身体堅いんだよ、しかも怪我した身体で大の大人を負ぶったのか彼は。

「………チャド、」
「……なんだ?」

「取りあえずおはよう、生きてて良かったな。流石チャド」

「……ありがとう」

苦笑いを浮かべながら口にするとゆったりとした口調でお礼を述べられた。まあ、事はともあれチャドが無事だった事には変わりない。

「………!」

良かった、良かったと内心で呟きながら目を手元にある珈琲牛乳へと移そうとした時だった。

チャドの持つ白いインコに目を奪われたのは、

end