「……公園?」
連れて来られたのは小さい子供が遊ぶような近所の小さな公園だった。
命のおもさ
「…わああああああッ!!!!」
「――――ッ!!」
バンッ、と巨大な音が鳴ったかと思うと公園の中の遊具が粉々に壊されている。その中には幼い子供の霊
「……あれは、虚…」
遊具を壊し子供の霊の悲鳴の仕業はあの蜘蛛のような虚だ。子供の霊を襲っているのを慌てて止めようと一護が向かおうとするがルキアに止められる。
「なんだよ…!!?」
「………何故助ける?あの子は赤の他人だろう」
「………なッ」
ルキアの言葉に一護と俺は踏みとどまり言葉を無くす。確かにあの子は赤の他人であり助ける義理もない。先程一護が口にした言葉であり今その状況だ
放っておけば良いものの足が動かず助けたいと願わざる負えない。
「…今あの子を助けるなら他の全ての霊を助けると言う覚悟を決めろ。何処までも駆け付けその身を捨ててでも助けると言う覚悟をな…!」
「……一護、」
ぐっ、と一護が拳を握り締めたのが見えた。一護なら身体を張る時はきっと何も考えちゃいないだろう、ただ助けたいと言う気持ちしか……
一護が刀を掴んだのが見えた。そして躊躇いもなく虚を斬る所も、頭の頭痛はもう無かったが自分の中の何かがドクンと揺れたのがわかった。
「…見事な魂葬だ。」
「………帰る」
気付いた頃にはあの子供の霊も尸魂界に送りことが全て終わった頃で。ふい、と拗ねたように歩き出す一護の背を見つめた。
* * * * *
「おおー、神よー。何故私は生まれ落ちてしまったのー」
「…………」
学校が終わり自由になった筈だが後ろからはルキアがこれまた変な言いようで本を呼んでいる。勿論あの後一護はキレたがどうやら現代語の練習らしい。
「……何処かズレてるな」
「そうか?」
苦笑いを浮かべながら口にするが差ほど気にする事もないルキア。それに尚も苦笑いを浮かべるが道路の方からブレーキ音が聞こえた。
「……一護、」
「…ああ!」
何事か、走ってその場まで行けば見慣れた後ろ姿に立ち止まる。
「…あいたたた、た」
「、……井上さん?」
「………あ、雪伊さん!」
一護と同じ明るい髪に幼さが残る顔立ち。井上さんと直ぐにわかって声を掛けると驚いたように此方を見た井上さん。
「お前…引かれたのか!?」
「…あ、うん…多分…」
一護の言葉に少し考え口にするが多分と言うのはどういう事なのか。大丈夫か?と問い掛けると慌てて立ち上がってへらりと笑う。
「うん!ちょこん、って当たっただけだからもう、復活!復活!」
「…復活、復活って…車はどうした?」
呆れながら一護が問い掛けるとちらりと向こうを見て今度は申し訳なさそうに行っちゃったと口にする。流石の一護も少し怒ろうとするがしゅんとしてごめんなさいと呟かれ怒られなくなったようだ。
「……あれ、朽木さん?」
「誰だ、貴様は」
少し沈黙が続いたが一護の後ろに居たルキアを見つけ驚いたようにルキアを呼ぶ。当のルキアはクラスメイトだとは思っていないのかあの変な話し方では無く俺や一護に見せる話し方で警戒する。
「っばか、うちのクラスに居ただろ!!?井上だよ、井上織姫!!」
「…なに!?」
小声で話す一護とルキアにハテナマークを頭に浮かべる井上さんに苦笑いを送る。
「…ま、まあ!御機嫌よう、井上さん」
「…あ、 御機嫌よう」
無理矢理過ぎる変わりように流石の井上さんも苦笑いを浮かべても尚ルキアと同じようにスカートの裾を持ちまるで貴族がやるような挨拶をする。
「お買い物でらっしゃったの?」
「あ、そうだ…夕御飯!」
わたわた、と慌てながら辺りを見渡す井上さん。どうやら直ぐに見つかったみたいだが、
「葱とバターとバナナと羊羹、無事でした!!」
「…一体何を作る気なんだよ」
えへへ、と可愛らしく笑う井上さんだが葱とバターとバナナと羊羹で夕御飯を作るのだろうか、まず葱はどのように活用するのだろうか。
流石に井上さんの夕御飯は食べれないな、と小さくため息をついた瞬間目線は井上さんの脚へと向く。奇妙な痣が広がっているがさっきの車との事故で出来た痣では無さそうだが、
「…その、脚の痣は?」
「…あれ?今付いたのかな…車にぶつかった時?」
ルキアも気になったのか、井上さんに問うがわからないようできょとんと首を傾げた。
「ひでーな、痛いだろ…」
「ちょっとね、でも大丈夫!」
「……本当かよ、」
一護は自分の痣のように顔を歪まし口にするが当の本人はさぞかし痛くはないようでへらりとまた笑うが一護は信じられないような顔をする。
その会話中でもルキアは井上さんの痣を真剣な顔で眺めていた。
end