究極の犠牲 1

「愛、だって?」
「ええ、貴方の1番愛する人って、誰?」
女は、褐色の肌にその白い手を回し尋ねる。
「どうして?今愉しんでるのに、それは必要なことかい?『愉しめる時に愉しむ』それで十分さ」
いつもの、軽い口調でそう言った。
「そう?でも……貴方のその首元の冴えないペンダント。なんだか貴方らしくないわ。誰か、恋人からの贈り物かしら?」
ツっと、その飾り気のないペンダントを細い指がなぞる。
「……詮索好きな女は、キライだよ?」

窓辺に眼下を見下ろし、アンティバの黒烏、暗殺者集団の頂点に君臨するゼブランはペンダントを見つめた。
ベットには、物言わぬ骸になった女の抜け殻が横たわっていた。
『あげるよ。』
『何?ペンダント?』
『サークルにいた時から身に付けていた物なんだ。守りの術が込められているから、何かの足しにはなるさ』
『恋人からのプレゼントだ、大切にさせてもらうよ』
『そんな事、言い慣れてるんだろうけど……うん、そうしてくれると嬉しいよ』
殺すために近づいて、そのうちお互いの距離が縮んだ。
いつものように手を出して……いつの間にか本気になってしまった。
彼は……唯一の恋人だった。


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