悪鬼邂逅 5

睡蓮が目を覚ますと、泡沫の腕の中だった。
夜風が心地よく吹き抜ける、都の外の草原に居るようだ。
「起きたのか?」
「はい。……泡沫、それ『腕』じゃない?」
「ん?腕だ」
睡蓮は、溜息をつく。
泡沫が腕を持っているなら、今頃黒耀は……。
「うあああぁ!!」
「ハハハハハ!」
案の定、黒耀は嬉しそうに鬼を嬲って楽しんでいる。
「……黒耀に食べれれてますが、あの方のものですか?」
「ああ、あの鬼のものだ。」
「……なんだか、可哀想。」
「お前を喰おうとした鬼だぞ?」
「初めて会った時、黒耀も泡沫も、私を食べようとしてたでしょ?」
そう言われて、苦笑する泡沫。
彼から食べかけの腕を受け取ると、睡蓮は、今にもガブリと頭から鬼にかじりついてしまいそうな黒耀の所に向かう。
「黒耀、お願い、待って」
「睡蓮?」
睡蓮は、死にかけ倒れている鬼の傍らに座り込むと、泡沫から取り返した腕を元の場所に押し当てる。
「大丈夫ですか?まだ、生きられますか?」
ゴフリと血を吐く鬼の目が、うっすらと開かれる。
「睡蓮、まさか助けるつもりか?」
「味方になってくれるなら、とても心強いだろうし。この方は闇属性の妖かしのようだから、きっと黒耀や泡沫とも相性はいいはずよ?」
「同属嫌悪が関の山だと思うがな?……自分を食い殺そうとした鬼を、内裏で人を喰い続けた鬼を救うのか?」
「ええ、助けたいと思うもの。関係ないわ」
ニコリと、いつものように睡蓮が微笑んだ。
黒耀は人化し、睡蓮お前に立つと、その頭をくしゃくしゃと撫でる。
「ククク、まぁ、お前の頼みなら聞いてやる。泡沫、治してやれそうか?」
「そうだな……」
彼は草地に手を伸ばし、その中から1匹の邪気を捕まえた。
「これでも喰えば、勝手に治るんじゃないか?」
「ハッ、確かにな」
鬼の口元に邪気をぶら下げる泡沫。

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