悪鬼邂逅 4

「喰うだけだな。なぁ、泡沫?」
「あぁ、そのようだ」
「誰だ?ぐぁ?!」
男の喉を掴んだのは、黒耀だった。
ギリギリと、爪を立て締め上げる。
骨の軋む嫌な音と共に、男は口端から青い血を流し、苦しげに紅い瞳で黒耀を睨む。
「なんだ、貴様?……人、では無いなっ?!……ぐ、あぁ!」
「ただの鬼でもないがなぁ」
そう言って、口元の血を舐めとると、黒耀は笑みを浮かべた。
傍らで、跪いた泡沫が、寝入る睡蓮を抱きかかえる。
「汚らしい手で触れるな、穢がうつる。黒耀、小煩い蛇女もいないし睡蓮も寝ている。楽しみたいのも分かるが、さっさと済ませよう」
「ん?ああ、そうだな……お前、人を喰う時どこから食べる?」
「がっ!そのような事、聞いて…どうす、る?」
「俺は、苦しみ、悲鳴を上げ、恐怖に心を染める姿が大好きだ」
そう男の耳元で囁いた黒耀は、事も無げに彼の左腕を肘から捩じ切った!
「ぐあ、あぁああ!!」
「ほら、泡沫」
「……まぁまぁだな」
投げ渡された腕を受け取り、流れ落ちる青い血をゴクゴクと飲み干しながら、泡沫はニヤニヤと哂った。
黒耀が、そこから先がなくなった腕を手に取り、口付ける。
男は確信していた。
彼らもまた人ではなく闇の者、鬼の自分が恐怖するほど邪悪で危険な妖かしだ!
「がはっ!、な・何故だ……まさか、式神?こんな、…女の子が、ぐあああ!!」
「まぁ、色々あってな。…クク、お前、不味くはないな。安心しろ、2人もいれば全部食べ尽くせるさ」
「?おい、黒耀!内裏から人が来る」
「……少し気配を出しすぎたか?面倒だな」
「睡蓮も居る、ここは引き上げよう」
「仕方ない。場所を移してゆっくり喰うか」
黒耀は、人化を解き黒龍の姿に戻る。
口に男を咥えると、その背に泡沫と睡蓮を載せ空に舞い上がった。

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