悪鬼邂逅 2

日が暮れ、闇に包まれた都の通りに人影はない。
見鬼である睡蓮には、人の代わりに、小物の鬼などがちょろちょろ辻を駆け抜ける姿が見えた。
「京の都は、昼も夜も賑やかね」
「ああ、そうだな。ほら、足元に気をつけろ、転ぶぞ?」
黒耀のさし出す手を取る睡蓮。
白く小さな手から、ぬくもりが伝わった。
生きた人のぬくもりだった。
時折、掻き消えてしまいそうなそのぬくもりを惜しむように、黒耀はしっかりとその手を掴む。
「相変わらず、夜目が効くな」
「月明かりがあれば十分よ、よく、夜に抜け出して散歩していたから。あ、全くの暗闇だと、さすがに見えませんよ」
「……人など辞めて俺の元に来れば、真の闇でも見通せるようになるぜ?」
黒耀は、華奢で小さな体を引き寄せて、その顎掴むと上を向かせる。
紅い瞳に睡蓮の姿を捉え、そっと顔を寄せたところで、いつもの『連れ』の気配を感じ取り、舌打ちする黒耀。
「邪魔な奴だな?」
「貴様がな?」
青い鬼火をまとった幽体が、橋からこちらを見つめていた。
その姿は、地を這うイモリの中にスッと吸い込まれ、其の後実体となり二人の前に現れる。
「泡沫、迎えに来てくれたのですか」
「ああ、癖の悪いのと一緒だと、何かと危険だからな」
「俺と貴様の何が違う?」
「酒癖と女癖はお前のほうが悪い」
「ハッ、根性の悪さは貴様のほうが上だろ」
「二人共同じよ、黒耀も泡沫も、私にとっては大切な人だから」
そう言い微笑まれては、2人も言い争うことを辞めるしかなかった。



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