悪鬼邂逅 1

「こんにちわ、明臣様」
「………」
「?……あ、黒耀、人化してくれますか?」
黒龍の背に乗って舞い降りてきた睡蓮は、顔をひきつらせる明臣を見て、黒耀に人に化けるよう頼む。
「…すいません、動物がお嫌いでしたね」
「おい、俺は龍だぞ。獣などという下等なものじゃない」
「似たようなものだ!…それより、白拍子、こんな夜に何のようだ?」
「夕涼みについでに寄らせて頂きました。お昼だと、ゆっくりお顔も見れませんから」
そう言って、睡蓮はニコリと微笑む。
「僕は見世物じゃないぞ、まったく」
どうも調子を狂わせられる。
そんなふうに感じながらも、相変わらず突き放した物言いで話す明臣だったが……。
「そんな風に龍に乗ってるところを見られると、マズイ連中もいるから気を付けろよ?ただでさえ、内裏が騒がしいんだからな」
「何かあったのですか?」
「人を喰う鬼が現れてる」
ふと、睡蓮が黒耀を見る。
「残念だが、『それ』は俺じゃない」
「では、『別』のは貴様が犯人か?」
「さぁな?」
明臣に睨まれ、人を見下すような笑みを見せる黒耀。
「闇属性の妖かしならば珍しい事象ではないですが、内裏でというのは穏やかではありませんね」
「朝になると食い残しがばらまかれているそうだ。楠木の奴も調査に乗り出してるらしいが、白拍子、貴様はそうゆう類に好かれそうだし気を付けろよ?」
「分かりました。ご心配、ありがとうございます」
「別に心配などしてない。ほら、用がないなら帰れ!ちゃんと歩けよ!」
「はい。それでは明臣様、さようなら」



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