夕涼み 2

やがて静かに寝息をたて始めた睡蓮を、黒耀は優しく抱えて部屋の奥へと連れて行く。
「虫除けの香でも焚こう」
泡沫が、香炉を用意する。
「ねぇ、あんたたちって、どうして睡蓮に良くするの?」
白菊姫が、ここに来てからずっと不思議に思っていた疑問を口にする。
「人でも妖かしでも、とって喰おうっていうアンタたちが、どうしてこの子には優しいのさ?」
黒耀と泡沫は顔を見合わせた。
「……よくわからん。」
「……何故だろうな。」
違うのだと、彼女だけが特別だと、そう思わせるのは何故なのか?
美しい女も賢い女も気高い女も、沢山見てきた。
まだ子供でしかない彼女に、どうしてこう惹かれているのか。

「……あんた達、本気の恋は、人間相手だと辛いわよ?それにこの子は…命の揺めきがあまり感じられない。普通より、儚いわ。」
「俺は気に入らないものは、星でも砕く」
「私は、フザケタ定めなら宿命だろうと退ける」
それは、不遜で不敵な、彼ららしい回答だった。
「…茶でもいれるよ、黒燿・泡沫」
白菊姫は、そういって微笑むと席をたった

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