夕涼み 1

「やっと、少し涼しくなってきましたね」
「そうだな」
黒耀の膝を枕に、のんびりと夕涼みをする睡蓮。扇であおぎながら、黒耀は満足そうに彼女の金の髪を指で梳く。
「ちょっと!ふてくされた顔してないで、わらわをシッカリあおぎなさい泡沫っ!」
「白菊!何故、貴様に命令されるんだ?」
「双六で負けたから。それに、勝手に呼び捨てないでおくれ。姫までつけなさい。白菊姫とお呼び」
「いちいち気にさわる女だな!」
「いちいち細かい事にこだわる男ね!」
「煩いぞ!」
睡蓮を独り占めし上機嫌だった黒耀が、隣のけたたましさにたまらず怒鳴る。
「クスクス」
3人の様子を見ていた睡蓮が、楽しそうに笑う。
「私、清明様の所に来て本当によかった。毎日、こんなに楽しいもの」
「睡蓮、俺のものになればもっと楽しくなるぞ?」
黒耀が笑みを浮かべてそう言うと、泡沫が彼を押しのけ、睡蓮の顔を覗き込みながら告げる。
「こんな男より、私を選べ?必ず幸せにする」
「ありがとう、黒耀、泡沫」
相変わらずな2人の態度に、呆れて白菊は溜息をつく。
「そういや睡蓮、内裏に鬼が出るって話じゃないか」
「ええ。でも、わたしはまだ出会ったことがありませんから」
「なんでも、人を喰うって話だよ。気をつけなさいよ、睡蓮はそうゆう類の連中に好かれやすいようだから」
白菊姫が指すそうゆう類には、もちろん黒耀と泡沫の事が含まれていた。
「そうゆうお前はどうなんだ?善良な妖なのか、白菊姫様?」
「あら、不幸と邪悪の化身みたいな黒龍のアンタに比べれば、よっぽど善良よ」
フイッと横を向く白菊に対して、黒耀もフンッと鼻で笑う。
「3人とも、仲良しね」
睡蓮の言葉を、黒耀・泡沫・白菊姫が一斉に揃って否定する。
「「「仲良く無いっ!」」」
思わず揃った声に、3人は一様に顔をしかめた。
「嬉しいわ」
睡蓮は、そんな彼らに向かって微笑んだ。


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