sweet 3

「ねぇねぇ、それ、どんな味?」
「…お前、自分も食べたことのないものを俺に押しつけてるのか?」
「だって、屋台に並んでる食べ物全部って頼んだんだもの、私だってお祭りなんて詳しくないんだからしょうがないじゃない。」
「くだらんことに使用人を借りだしたかと思えば…うん、美味いな。」
「リューガ邸で、コース料理以外の食事をとる日が来るなんて思わなかったわ。」
「それは俺のセリフだ。まぁ、こうして庭でくつろぐなどということも、子供の時以来か。…まだ義母が生きていて、エストが幼かったころは、今のように庭にティーセットを持ち込ませ楽しんだりもしたが。庭に咲く花も、精気を得るための手段程度にしか考えていなかったか。」
「お城の空中庭園も綺麗だけど、ここも凄く素敵よ。レムオンほどじゃないけど。」
「お前、誰に仕込まれてそんな恥ずかしいセリフをさらりと言えるようになったんだ?」
「思ったことをそのまま言っただけよ?おかしい?」
「…くだらん。」
照れた様子で横を向くレムオン、ケテルはクスクス笑いながらリンゴ飴をかじる。パリッと音をたてて崩れる薄硝子のような飴、甘酸っぱいリンゴと混じりあう。風が、庭園に咲く花の香りを運び、同時にレムオンの銀に輝く髪を揺らした。
「…――せっかく仲間になってくれたのに、レムオンの事、随分待たせちゃったわ。」
「そうだな、待ちくたびれた。待つことには、慣れていたはずだが、な。」
「前にね、ゾフォルが言ってた。人は、自分の理解できないものを恐れ、理解しようとしないって。私はそうは思わない、ううん、思いたくない。」
ケテルは、レムオンの長い髪を片手にとり話を続ける。
「レムオン、私は…――ううん、なんでもない。」
「…話したくないなら無理には聞かんが、気になる言い回しだな?」
ケテルは、しばらくうつむいていた。レムオンに顔を見せないまま、ぽつりと、言葉を漏らす。
「私、レムオンが好き。前にも言ったけど、世界中のすべてを敵に回したって、私はレムオンの傍に居たい。この気持ちだけは、変わらない。変えられない…変えられないから、レムオンを不幸にするかもしれない…――そう思ったら、レムオンから、離れなきゃいけない気がした。」
「なぜ、そんなことを言うのだ?お前が俺を苦しめたことなどないというのに。むしろ、俺の方がお前を不幸にする存在かもしれん。」
「違う!!そんなことない、私の存在意義は貴方だから!…ね、レムオンが飽きるまででいいから、私を傍に置いてくれる?嘘でもいい、必要だって言って欲しい。レムオンがそう言ってくれれば、私…――、一人ぼっちじゃないって安心できる。」


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