流星の降る場所 1

 思い起こすのは、あの星屑のような輝きを放つ青い瞳と青い髪。
調子がよくいい加減で、いつも悩まされた。人を小馬鹿にした態度で呼び捨てる、品性や慎ましさなんてものを欠片も持ち合わせていないようで、色目は使うわ酒癖が悪いわ…――そのくせ、情に弱く仲間の為にはどんな無茶もした。本当は、愛情深く、美しい戦女神。ロストールの、いや、世界を救った救世の英雄。
暗闇に絡め取られそうになった俺を、アイツはなんの躊躇いもなく光の元に連れ戻し、今、この居場所を与えたのもアイツだった。

偽りの妹であり、…――恋人だった。

だが、あのすれ違っていた時も、蜜月の時さえも、すべてが泡沫の夢であったかのように、彼女の姿はかき消えた。別れの言葉も聞いていない。ただ、時折アイツが軽々しく口にしていた言葉が、呪文のように心に響く時がある…――。
「もう、五年か。」
出会ってから、時を同じくしていた期間より長い時が過ぎていた。

王城からの帰り、レムオンは夜空の星を見上げていた。帰り、といってもわざわざ足を運んだこの場所は、希望の丘と呼ばれる街外れで、今の時間は人影もない。一筋の星が流れ地に落ちた。このところ、ディンガルとの関係も落ち着いてきた。この大陸より東の大陸に渡る船も就航しはじめ、バイアシオンは、穏やかで平和な日々を取り戻しつつある。
「アイツには、平和な世界はつまらないか。」
だからこそ、出ていったのかもしれない。何より退屈が嫌いで、世界の全てを見たがっていたから。レムオンは、その性格を理解していたからこそ、彼女が戻らないと悟っていた。

「おかえりなさいませ、レムオン様!」
「おかえり、兄さん!」
「なんだ、やけにうかれているな?」
「今日は、兄さんの誕生日でしょ?とっておきのプレゼントがあるんだよ。」
「ああ、そうだったな。今日は俺の誕生日――?!」
突然、がばっと勢いよく誰かが後ろから抱きついた。




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