片恋への招待状 2

「何だと!?もういっぺん言って見やがれ!!」
「?」
急に店内に怒声が響く。見れば、リムローズと一人の男がもめているらしい。
「くだらない男に用は無いの。何回でも言ってあげるわよ??」
クスクスと彼女は笑う。それを見て、もともと紅い顔をさらに紅潮させた酔っ払いの男は、肩を震わせ今にも殴りかかる勢いだ。
「このっ、小娘が調子に乗りやがって!」
「その小娘相手にエロい事考えたのは、アンタじゃない?いいわよ、私より強ければ抱かれてあげる。殺すくらいの勢いで、力ずくで襲ってみる?クスクス。」
「上等じゃねえかっ!!」
男は、幅広の剣を腰から引き抜き振り上げる。給仕の娘が悲鳴を上げ、剣の切っ先はランプの明かりを反射しキラリと鋭く光る。その太い腕が振り下ろされようとした時、その手を後ろから掴んだ者がいた。セラだ。
「てめえ、離せ!!」
「やめろ。」
「なんだ、この小娘の連れかぁ?!邪魔するなら、まとめて叩き斬るぞ!!」
「その剣を振り下ろせば、貴様は死ぬぞ。」
「なんだと?!…っ、うそだろ?」
男の心臓には、既にリムローズの短剣がつきつけられていた。
「リムローズ、いい加減にしろ。」
「?!リムローズって、まさか竜殺しの…へへ、今日の事は、忘れてくれ!!じゃ、じゃあな!」
「…なによ、殺すつもりでかかって来いって言ってるんだから、殺される覚悟、してたんじゃないの?つまんない。」
素早く引き抜いていた二振りの短剣を腰に収め、テーブルに残されていたワインボトルに口をつけ中身を飲み干す。
「ごめんね、マスター。ふざけすぎた。これ、多めに置いてくからとっといて。セラ、行こう〜。」
有無を言わさず、セラと腕を組み店を出るリムローズ。
「ね、ついでだからさ、ちょっと付き合ってよ。」
「何処にいくつもりだ?」
「港。」
何を考えているのか、こんな夜中にあんな場所に何の用があると言うのか。



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