Chapter1 2

衣装はオーダーメイド、ほとんどの時間を王宮で過ごしていたレムオンにとって、こうして一軒一軒買い物をして回る事は新鮮だった。リムローズも、楽しそうにアクセサリーを見たり服を見たり、レムオンを連れまわしては楽しんでいる。
「うん、意外に上手いな。」
「でしょ〜?王宮じゃなくても、貴族じゃなくても、美味しいケーキは食べれるのよ♪」
表通りを少し離れた場所にあるケーキ屋のテラスで、二人は自慢のショートケーキを頬張った。レムオンを前に、リムローズはとても楽しそうに笑っている。いつの間にか、レムオンは煩わしい考えを忘れていた。自責の念も、種族的な差別の事も…――。
手を伸ばし、その星明かりにも似た青い髪に触れる。
「リム、礼を言う。ありがとう。」
「突然なによ?」
「お前がいると、こんな俺でも笑う事が出来る。誕生日など忌まわしい日でしかなかったが、お前が傍にいてくれるなら、生まれた事を後悔しなくて済みそうだ。」
「レムオン。」
「愛している。」
「なっ、なな・なによっ?!ちょっと、待って!こんなとこで言われたって、恥ずかしいじゃない。」
顔を紅くして横を向いたリムローズ。その、狼狽した様子を見て、楽しげにレムオンは微笑む。

「今日は、楽しかった〜。でも、一つだけ出来なかったな。」
「なんだ、やり残したことでもあるのか?」
「コレよ、コレ!」
言いながら、リムローズは手にした傘をレムオンに見せた。
「雨でも降ってくれれば、一緒に傘をさせたじゃない?」
「ふっ、それなら、させばよかろう?さしてやる代わりに、この荷物を自分で持つんだな。」
「ちょっと、ずるいわよ?!か弱いレディーに、両手いっぱい荷物持たせていいの?」
「それは、全て貴様の荷物だろ?“竜殺し”が、か弱い訳なかろう?それに…――。」
レムオンは、空色の傘をひろげると、通りからの視線を傘で遮り、同時に両手の塞がった彼女に口づけた。
「今日は、俺の誕生日だからな。欲しいものをもらっておこう。」
不敵に笑うレムオン。
「…傘の使い道、違うじゃない。」
「これでやり残したことは、無いだろう?」
「……あるわよ。」
「なんだ?」
「誕生日、おめでとう。好きよ、レムオン。」

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