猜疑と疑念と 3

タタタタタタタタ!
『?!』
タタタタタタ…!!
「実弾?!」
「避けろ!」
ローデンバックの叫びと共に、3人はその場から身を翻す。
「実弾演習なんて、聞いてないよ?!」
「手違いだろう、君たちは、どれだけ戦える?」
「身を守る程度には。」
「僕はただの医者だよ?逃げまわるのが精一杯。」
「ブリュンティエール君は、ここにいたまえ。イーデン君…。」
「バーンで構わない。」
「私が始末するから、援護を頼む。あと、外と連絡は取れるかい?」
「じゃ、僕はここで外に緊急連絡を入れるよ。」
「任せたよ。次の斉射が終わったら飛び出よう。…3・2・!」
ローデンバックとバーンの2人が、合図と共に攻撃に移る。
見送ったオーレリアンが、施設外への連絡を入れるが…。

「…妨害されてる?!…チッ、狙いは“誰”だ?」

ローデンバック大佐。殺椀とまで呼ばれる男は、汚染派組織から見れば驚異そのもの。本調子でないと知れば、潰すなら今は好機だ。そして、あのバーンという男。ただの研究員にしては、行動に隙がない気がする…そして、自分。もし“正体”を知る者がいるなら…恨まれる相手は、星の数ほど居るだろう。
「…ひとまず、傍観させてもらおうか。」
 
 さすが軍きっての英雄の手際は、休職中とあっても素晴らしく、実弾が装填されていたといっても、旧式のマシーナリーなど敵ではなかったようだ。予定数の6体を完全に破壊すると、バーンと共に、待機していたオーレリアンの元に合流する。
「ひと通り片付けたが、トラブルかな?ひとまず、ここを出よう。」
「君たちと一緒で助かったよ。」
オーレリアンは、笑顔を見せる。
『…佐、…大佐っ!…ご無事ですか?!』
通信が回復したのか、施設の館内無線から、連絡が入る
「やっと助けも来たみたいだね。皆無事だ!開けてくれ、ロックがかかっているらしくて、こちらからは開けられない。」
『分かりました。少しお待ちください。』
「気をつけてくれたまえ。今日の演習は、軍属ではあっても、非戦闘員にあたる者の演習だろ?たまたま私がいる班で良かった。」
『申し訳ありません、手配ミスで、演習機と廃棄機が、間違って配備されたようです。大佐がいてくれて安心しました。大佐がいなければ今頃……。」
溜息と共に、バーンがズレたメガネを直し、視線を何気なく天井に向けた時だった。
「あれは…ドアから離れろ!」
閃光と共に、爆風と衝撃が襲う!


これも、君の為、だよ。


…自分を呼ぶ声が、やけに遠く聞こえた。眼を開けているはずなのに、暗い。爆発に巻き込まれた彼の身体が、血溜まりに沈む。無事だった二人が、止血を施す。
「ブリュンティエールくん!しっかりしたまえっ!!」
「大佐、こっちを押さえて!扉は?まだ救援は来ないのか?!」


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