Merry Christmas to Devils 9

「ぎぃやぁあああああ!!」
「いやぁああああ!!」
Bluekidsに、レイリックとフルールの悲鳴が響く。
「なんだ、なんだ?」
遅れてきたオヴニルが後ろから覗き込むと、いつも通り物静かにテーブルに座るノーヴィスが、箱から何も言わずやたら可愛らしく飾り付けられた髑髏キャンドルを取り出した。同梱されていたらしいクリスマスカードを拾い上げたオヴニルが、それを読み上げる。

『メリークリスマス、手伝ってくれてありがとう。お礼にキャンドルあげるね♪   メア。』

「悪意が無いあたりが、メアちゃんらしいねぇ。ノッさん、持って帰るか?」
「そうだな、緊急用の光源としては、問題ないな。」
「いや、そこつっこんで欲しかったんだけどな。」


「フェイムスコア。」
kennelに、仕事を済ませたヤンが戻ってきた。ヴァイスリッターと称されるだけあり、鮮やかな手際で半日もかからず賞金首の処分を済ませた。口数少なく名前だけを呼んだ彼に、フェイムスコアは、彼がPCをチェックしていたことから、ランキングからグリムエンジェルスの名前が削除された事情をを聞きたいのだろうと察し答える。
「ああ、やられたよ。全滅だ。目立つな、と忠告したが遅すぎた。……また賞金首をあげてくれたのだったな、ありがとう。確認も済んでいる、報酬の手続きをとっているから、明日まで待ってくれ。」
「わかった。」
無機質な表情に憂いの欠片も見せてはいないが、心中で彼女たちの死を悼んでいるのが分かったヤンは、それ以上何も言わず部屋を出る。フェイムスコアは、窓から街を見下ろし溜息をついた。昨夜の雪は、積もること無く消えていた。
「…戦場で、"緑髪の少女を見ると、不吉なことが起こる”か。しかし、"緑髪の堕天使”と呼ばれる存在とも外見が一致しなかった。殺しの手口は、忌々しい"黄金の昼下がり”の手口だ。……摘んでも摘んでも、悪の芽が芽吹く。いったい、終わりは何処にあるのか…――。」


聖夜の賑わいとは裏腹に、冬の終わりはまだ遠く、春の足音はまだ聞こえない。


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