Merry Christmas to Devils 8

「総統のクリスマスパーティの趣味が、人並みだったって…意外すぎて驚きよ。」
別のテーブルで、アンネリーゼが笑っているヴィルフリートとオーレリアン・アロイス・メアの様子を交互に見て目を丸くしていた。
「ズレてるのって、飾りくらいですもんね…常識的観念ってあったんだ…。」
「もっと、こう血生臭い演出とか、狂ったイベントとか用意しなきゃいけないと思ってたね。いつだったか?人間を材料に料理出した奴が瞬殺されたが…。」
「問題点が分かりましたね。あの総統相手だと思って、深読みしすぎてました。」
雅斗とセレスティのが感慨深げに会話していたが、ダニエラがニヤつきながら言った。
「お前ら、今の会話を聞かれたら、たぶん体の一部が本体から切り離されるな。」
『!』
「安心しろ、吾輩は思慮深いからな。ボイスレコーダーで音声が消えぬようしっかり保存したぞ。」
「や・やめてくださいよっ!消してください。」
「今年はせっかく無事だったんだ、勘弁してくれ。」
「そういえば、政府が軍の一部の人間にだけ立ち入りを許している、崩壊前に建てられた研究施設があったな。珍しい汚染生物の棲家になっていると聞いたな。行きたいものだなぁ。」
「わ・わかった、俺達で何とかする。だから消してくれ。」
「許可証、出しますからっ。」
「ふむ、やはりここは居心地が良いな。」
 もう一方では、テーブルにのりきらないほどの料理を並べ、一心不乱にそれを平らげる月読の姿があった。
「ちょっと、月読。そんなに慌てて食べると、喉が詰まるよ?」
「だって、うまいもんが山のようにあるんだぜ?食うしかねぇ。」
「アンタ、相変わらずだねぇ。ちょっと坊ちゃん、アチキにお酌でもしてくれないかい?たまには注いでもらう側にまわりたいのよ。」
「いいですよ、殺愛さん。」

悪魔たちの宴は、意外にも穏やかに執り行なわれた。それこそ、悪魔たちの気まぐれがそうさせた結果かもしれないが。時計の針が頂点を指す頃、聖夜にふさわしい純白の雪がチラチラと降り始め、街を白く飾っていく。


翌日。
「ヘイムダル〜、ロキ〜。」
ガラガラと、足元の悪いなか台車を押しながら、ご機嫌なメアが現れた。
「来た来た、あれ?貸しだしたもんは?」
「片付けるときに借り物だから返さなきゃっていったら、かさばるから小さくしてくれるって。」
「え?なに、バラしたん?!」
「大丈夫、ちゃんと生きてるよ。」
台車の箱を少し開ける。中には、両手足を斬られ、それでも死ねずにいる女の姿があった。傷口が、やたら綺麗に塞がれている。が、その表情は恐怖でひきつり目は見開かれている。
「おおきに、おおきに♪しっかし、やたら頑丈な精神っていうのも時と場合によっちゃ考えもんやな、狂ったほうが気楽やん。」
「え〜?狂っちゃってて良かったの?つまんないっていうかと思って、遊んじゃ駄目ってお願いしたんだよ。」
「そうなん?メアちゃん、気いきくね〜。じゃ、一緒にコレ、また飾りに行こか?派手にやれ、言われてるから、テキトーに斬ってどっかのツリーにでも付けてこよか。」
「そうだね、手伝うよ。貸一つ減らしてね。」
「貴方たち…ロクな死に方しませんよ。」


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