Merry Christmas to Devils 7

汚染が進み、廃棄された街の教会、枯れて葉は落ち幹だけとなったもみの木に、不似合いなイルミネーションがキラキラと光っている。灯りなど一つもない闇の濃いこの一角に、ただ唯一楽しげなクリスマスソングが流れている。
「しかし、相棒、こんなに不似合いなクリスマスオブジェも初めてだな、ウケる!」
「蝋燭と髑髏はセットなんだって、ちょっと思考が変だよね、相棒。」
「ワインと料理は上質で美味しいけどな、変だよな!ま、俺達が変だって言うのも変だけどな、ウケる。」
「それで、コレ。クリスマスプレゼントなんだってー。」
言いながら、帽子屋は指で発振器をはじく。
「クリスマスには天使がいいでしょ?って、そこはお洒落だよね相棒!」
「テレビで見たとき、生意気だけどソコソコ気に入った身体があったんだよね。ま、殺すんだからしゃべれないし性格なんて関係ないさ、な、相棒。」
「そうそう、性格より首だよね〜。…あ、そろそろ到着したみたいだよ?」


一方、首都にある組織の息がかかったホテルの最上階。メアが、そわそわとゲストの到着を待っていた。幹部のほとんどが既に集まっていたが、肝心の主賓がまだだ。
「遅いなぁ〜、まだかなぁ〜。」
サンタの帽子を直すと、メアはシュワルツを抱え直す。やがてエレベータが開き、待ち望んだ姿が現れる。
「総統閣下、メリークリスマス!」
「なるほど、今年はお前か。」
先程まで付けていた、宝石が埋められた冷たくも美しい漆黒の仮面を外し、ヴィルフリートがメアを見下ろした。
「うん、喜んでもらえるように、一生懸命頑張りました♪」
開かれた扉の向こう、赤い絨毯に映える美しく白いテーブルクロス。そのテーブルの中央では、髑髏の中に入れられたキャンドルがゆらゆら揺れている。そして、足元を純白のバラで飾られた十字架には、純白のドレスに身を包んだ女が磔られている。手当などされていない腹部からは、相変わらず出血しているようで、滲み出した血液は、純白を紅く染めていた。
テーブルにつき、ヴィルフリートが注がれたワインを片手に持ち微笑んだ。
「フッ、では、始めようか?メリークリスマス。」
『メリークリスマス。』
一同の声が重なる。
運ばれるコース料理とは別に、メアがヴィルフリーとのところに大皿を運ぶ。
「あの、総統、これ。」
フタを開けると、美味しそうに焼けたローストチキンだ。
「私が作ったの、友達が、手作りしなきゃっダメって言ったから。」
「メアが?!サンドイッチ一つ作ったことがないのに?」
驚いてそう言ったのは、オーレリアンだ。
「あう、正確には、私は調味料を混ぜたのと、お腹にポテトを詰めて最後に盛り付けしただけで、残りは友達に作ってもらったんだけど…。」
呆れたといった顔でメアを見たヴィルフリートだったが、取り分けたローストチキンを口にして、鮮やかに微笑む。
「悪くない、次は完璧を期待しようか?」
「うん!次は…材料を切るくらいは頑張ります。」

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