Merry Christmas to Devils 5

小さな黒サンタは、賑やかな街角を歩く。と、ホテルにほど近い場所で、なにか人が集まっている。
「なんだろ?見に行ってみようか。」
「コラッ!せめて遊ぶのは荷物置いてからにしろって、ちゃんと聞け!」
荷物が邪魔でハッキリ見えないが、人と人の間から、ピンク色のコンバットスーツを着た数人の女性と、前に倒れた若い男が見える。
「そんな醜悪な印を付けて街中を歩くなど、私達が許しません!」
「狩る価値のない小物とはいえ、その存在が汚らわしいわ。」
女性たちは、口々に罵声を浴びせている。倒れた男が、左頬にブラックハートのチークをいれているが…ソレが気に入らなかったのだろうか。
「おい、あのピンク色、賞金稼ぎだぜ。」
「シュワルツ、知ってるの?」
「最近、派手にやってるな。TVにも出てるぜ?悪を討つとかなんとか。」
「かっこ悪、ヒーローアニメの見過ぎかなぁ。」
と、ぐいっと後ろから肩を掴まれる。メアが振り向くと、突然左頬を強く打たれた。いつもなら軽く避けるのだが、荷物を両手で肩にかけ持っているせいで、それが出来なかった。
「いった〜いっ!!」
「そんな印をつけて、立派な大人になれないわよ!」
「リーダー、この子、私達グリムエンジェルズを馬鹿にしてたわよ。少し、ちゃんとした教育が必要なんじゃないかしら?シェリー、ラム、エール!」
男の傍に居た3にんも、こちらに寄ってくる。囲まれるメア。小さな黒サンタは、それでも悪びれる様子はなかった。そればかりか、シュワルツの心配を他所に、更なる追い打ちをかける。
「…冴えない通り名だね、お姉さんたち。見た目もお洒落じゃないけど、名前も安直でウケルよ?」
「!この、クソガキ!!」
「うわっ、馬鹿っ!もっと怒らせてどうする!」
一人が、大きく手を振り上げたが、その手を掴み制した男が居た。
「…やめとけ。」
「誰だ?!離せっ!」
褐色の肌をした白髪の男だ。見た目いかついというわけでもないのだが、手を掴まれた女は、それを振りほどくことが出来ずにいる。彼は、首を振り、後ろをを見るよううながした。
「やりすぎだ。ここは街中で、戦場ではない。」
「フェイムスコア…。」
青みを帯びた銀髪、チラチラと電子的な光を瞳に灯した男はそう呼ばれた。腕を掴んでいた男も、彼が来たことで手を離す。
「行動が派手すぎる。政府が君たちを優遇しているのは知っているが…やりすぎれば、いらぬ反感を買うだけだ。自重するように。」
「フェイムスコア、お言葉ですが、私たちは正義を示すことが仕事ですから。こうした小さな悪から正すのが、間違いだとは思いません。それに、指図されるいわれもありませんよ?」
「…我々の仕事は、命を危険にさらす仕事だ。常の行動も、慎重であるべきだと思う。勿論、これは命令ではなく忠告だ。」
「お構い無く。私たちは、子供ではありませんから。」
リーダーと呼ばれていた女が、メアを睨む。涼しい顔で、フェイムスコアと呼ばれた男を見上げると、メアは言った。
「ねぇ、コワイお姉さんたちが睨んでるから、行っていいかな?」
男が、メアの方を見た。
「…行ってくれ。」
メアは、笑ってお辞儀すると、その場を離れる。
「だから、俺の話を聞けって言ったんだ!」
「わかったよ…でも、私見つけたよ。」
「何が?」
「十字架の材料と、帽子屋さんと約束したクリスマスプレゼント。ウフフ、絶対、許さないんだから。ね、シュワルツ?」



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