Merry Christmas to Devils 4

『ちょっと!アチキの店を勝手に荷物受け取り所にしないでおくれ!!お客が減るから、サッサと回収しなっ、いいね?!』
数日が過ぎ、けたたましい苦情の電話に起こされたメアは、眠い目をこすりながらチ・カセカイの月光花へ向かう。どうも、帽子屋さんが約束を果たしてくれたらしい。ぼーっとしながらチ・カセカイ行きのシャトルに乗り込み、再びうたた寝を始める。
「メアの奴、疲れてんな…。」
シュワルツは、うつらうつら微睡むメアを膝の上から心配そうに顔を見上げた。ここ最近、張り切っているせいもあり、夜遅くまで動きまわることが多い。だが、所詮は子供なのだ。体力的に追いつかないのだろう。無理に起こすのは可哀想なので、シャトルが停車するまでの間、ゆっくり眠らせてやることにした。
眼が覚めれば、また面倒なクリスマス準備にとりかかるのだ。
チ・カセカイ一角、どちらかと言えばアウトローの集まる暗い路地に、クラブ『月光花』が存在している。表向きは普通のカウンターバーだが、汚染派組織からの仕事を提供している。客に伏せてはいるが、そのほとんどはレリウーリアの利権につながるものばかりで、危険度も高い。見せのドアを開けると、銀色の美しい長髪を高く結い上げ、和道職人に作らせた自慢の煙管に火を灯した殺愛が、カウンターに腰掛けこちらを眺めた。
「こんにちわ、evening primrose将軍。」
「おやめよ、殺愛でいいわ。それと、なんなんだい、あの髑髏の山は!どこかの馬鹿が、喧嘩でも売りに来たのかと思ったわよ。そしたら、あんた宛だって書いてあるじゃないの。勘弁して頂戴、あんなもん店の前に置かれちゃ、客が気味悪がって寄り付かないわよ。」
「そうかなぁ?可愛いキャンドル作ろうと思ったんだもん。きっと総統も喜んでくれるもん。ともかく、ドクロちゃん貰って行くよ。どこかな?」
「あそこ。」
指し示す先に、まさしくサンタが担ぐ袋のごとく、沢山の髑髏が袋に詰められていた。ヨイショ、とメアが肩に袋を担ぐ。
「う、重い…。」
「そりゃねぇ。誰か、人雇うかい?」
「いいよ、シャトルまで行ければいいもん。」
「阿呆っ!そんな物騒な荷物持って、のこのこシャトルに乗るなんてことするもんじゃないよ。ほら、ここのトランスポーター使いなさいな。」
「いいの?」
「出た先が、チョット賑やかなトコ抜けなきゃなんないけどね。首都の小さいライブハウスやら銃砲店がある商業区画、わかる?」
「うん、今組織のホテルに居るから、そんなに離れてない。」
「ま、あんたのそのカッコなら、なんら問題なさそうだ。クリスマスイベントの子くらいにしか思われないわよ。それより、頑張んなさいな。不興を買ったら、あんただって無事じゃ済まないはずよ。」
「大丈夫、キット楽しんでもらえるもん♪じゃ、さようなら。」



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